2023 Fiscal Year Research-status Report
屋外使用木材の耐用年数評価のための温度・水分暴露量と腐朽の関係式の構築
Project/Area Number |
21K14891
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Research Institution | Morioka Junior College,Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
大澤 朋子 岩手県立大学盛岡短期大学部, その他部局等, 教授 (30870414)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 木材耐久性 / 野外暴露試験 / 含水率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、ヨーロッパで研究が進んでいる非接地型の野外試験結果を基とした木材が受ける温度と水分の暴露量によって腐朽度との関係性を示す温度・水分用量応答モデルに着目し、日本産樹種に適用可能な木材の腐朽と含水率の関係を検討し、耐用年数評価に活用可能な関係式として提案することを目的としている。 実験計画の中心である、わが国では事例の少ない非接地型の野外試験:ダブルレイヤー試験と、わが国では取り組みの見られない、野外試験時の経時的な木材含水率情報の取得については2020年6月から開始した。現在は、先行試験樹種(スギ、ヒノキ、オウシュウアカマツ、スプルース)5条件(スギのみ心材・辺材)において3年間、カラマツ、ヒバ、およびスギ心材のシングルレイヤー(易乾燥条件)の3条件において2年間のデータを取得することができ、現在も継続中である。野外試験により、樹種ごとの含水率の経時変化が異なることが明らかとなり、半年ごとの劣化度評価と併せて腐朽との関係性を確認している。一方室内試験においては、関連するヨーロッパ規格や日本産業規格を参考として吸水性評価試験を行い、屋外暴露時の含水率推移や腐朽進行との関連性を検討した。その結果、吸水性試験は概ね屋外暴露時の含水推移と合致し、試験した樹種の中では、水分抵抗性が腐朽進行の低減に最も影響していたのはスプルースであり、日本産樹種の多くは水分抵抗性よりも心材耐久性の影響が強いことが分かった。これは2023年9月の日本木材保存協会年次大会において報告を行った。また、先行研究の多いヨーロッパ等の意見を聞くため、2024年6月のInternational Research Group on Wood Protectionの年次大会において発表を予定している。屋外暴露試験の長期的なデータ取得、関連する室内試験との相互評価について、取りまとめ準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実施者は、2021年10月より研究機関を異動し、現所属機関において室内強制腐朽試験等の実施体制の構築に時間を要していた。2023年度に設備機器等の導入を完了させ、体制を概ね整えることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
実施者の所属機関の異動により、野外試験地(秋田)と現所属機関(岩手)との地理的距離が生じたが、野外試験については前所属機関での研究協力者との協力体制を構築し、継続試験を行っている。実験室レベルの検証試験については、現所属機関にて設備機器の導入を完了させ、予定計画の遂行を目指して進めている。
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Causes of Carryover |
実施者の所属機関の異動による研究実施体制の再構築や、コロナ禍による出張制限があり研究遂行が予定よりもかなり遅れていたが、2023年度に概ね体制を整えることができ、研究発表も行うことができた。計画していたものの実行できていなかった国際学会での発表を2024年度に計画しており、次年度使用額に充てる予定である。
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