2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of an ammonia-inhibition control system in microalgal cultivation
Project/Area Number |
21K14903
|
Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
岸 正敏 創価大学, プランクトン工学研究所, 助教 (00824020)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 微細藻類 / アンモニア / 蛍光 / モニタリング / 資源循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、廃棄物由来のアンモニアを用いた微細藻類生産実現のため、毒性を持つ遊離アンモニア濃度制御に向けて、非破壊的・連続的にアンモニア阻害を検知することのできるクロロフィル蛍光分析手法の確立を目指す。本年度は種々の蛍光分析の中でも、特に多波長蛍光分光法に着目し、アンモニア阻害を検知する励起蛍光波長の組み合わせを模索した。 まずは「実験1:蛍光分光の条件検討」として、異なるアンモニア濃度に暴露させた微細藻類3種の多波長蛍光分光の3次元解析を曝露0、1、2、5、24時間後に実施し、アンモニア阻害に対する蛍光強度比の変化を調査した。また、同時にパルス変調蛍光分析も実施し、異なる蛍光分析法によるアンモニア阻害検知を比較した。 その結果、多波長蛍光分光ではクロロフィル蛍光を示す680nmの蛍光波長において異なる励起波長の蛍光強度の比を取ることでアンモニア濃度との相関が確認された。一方で、多波長蛍光分光は単純な蛍光強度比を取るだけでは精度が低く、汎用性に課題が見られた。他方のパルス変調蛍光分析ではアンモニア暴露わずか数分での精度の高い阻害検知が達成され、本法によるアンモニア阻害検知が可能であることが示された。しかしながらパルス変調蛍光分析は高額な測定機器を必要とし、安価な設備で検出可能な多波長蛍光の精度が向上できれば、実用性の高い手法へと応用できる可能性がある。そこで、本年度および翌年度初頭には当初の予定を変更して多波長蛍光分光測定データの統計解析の実施を続けることとした。 当初予定とは変更が生じたものの、本年度は翌年度に予定していた実験環境の整備や機器の構築を実施することができ、更に学会発表の目標数を達成した。よって全体を通して概ね研究は順調に遂行されていると判断する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は「実験1:蛍光分光の条件検討」、「実験2:アンモニア阻害の回復特性」、および「1回の学会発表」を目標としていた。このうち、実験1についてはすべての実験を完了したが当初想定よりも結果の判断が難しく、実験2の実施までに至らなかった。一方で、得られた結果を用いてすでに1回の国内学会発表を行っており、実験3の一部である屋外環境模擬システムの構築や簡易モニタリング手法の開発を前倒しで実施できた。よってスケジュールの前後はあるものの、概ね順調に進展していると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は実験1で得られた結果の解析が急務である。単純な多波長蛍光の蛍光強度比を取るだけでは結果の汎用性が低いため、多変量解析等の統計手法を用いた阻害判別を試行する必要がある。もしも良い結果が得られなければ、すでに良好な結果が得られているパルス変調蛍光に絞った実験計画に変更し、「実験2:アンモニア阻害の回復特性」および「実験3:日周変動下での実用性試験」を実施する。 本年度は実験2までの結果を元に投稿論文1件と国際学会発表1件を準備する。その後、「実験3:日周変動下での実用性試験」を実施し、その結果を国内学会で発表する。
|
Causes of Carryover |
当初計画では実験2までを本年度に実施予定であったが、研究計画の変更に伴い実験1までとしたため、それに掛かる消耗品費やアルバイト代を次年度に使用することとした。
|
Research Products
(3 results)