2023 Fiscal Year Annual Research Report
ハタ科ヒメコダイ属魚類の分類学的研究ー種多様性と進化プロセスの解明
Project/Area Number |
21K14905
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松沼 瑞樹 京都大学, 総合博物館, 研究員 (40814786)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 魚類 / 分類 / ハタ科 / 未記載種 / 分類学的整理 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
インド・太平洋の温帯~熱帯域を中心に分布するハタ科ヒメコダイ属の分類学的研究を行った。本属は、近年の分類・遺伝学的研究の進歩により、従来知られていたよりもはるかに種多様性に富むことが判明したものの、網羅的な分類学的再検討が行われておらず、正確な種同定が困難と考えられていた分類群である。本研究では、19名義種のタイプ標本・原記載と分布域広域から採集された一般標本を調査した結果、すべての名義種が有効種であることが明らかになった。また、本研究により西部太平洋域から3未記載種が発見された。最終年度では本属魚類のタイプ標本と一般標本が多く保管されているヨーロッパ各国の博物館を中心に訪問し、多数の標本を調査・解析した。加えて、国内外の研究者の協力を得て、ベトナムと日本から2種を新種として記載した。さらに、国内外での本属魚類のサンプル収集と博物館での標本調査の過程で、ヒメコダイ属以外の海産魚類(ヒウチダイ科、オニハタ科およびカレイ目魚類)の分類学・分布に関する新知見が得られ、それらの成果を随時論文として公表した。本研究では多数の標本に基づく形態・遺伝学的解析によりヒメコダイ属が単系統であることを確認した。現在、調査結果をもとに、ヒメコダイ属の未記載種の記載と、従来情報の少なかった名義種の分類形質の再定義を含め、各種の分布、形態などの情報を網羅し、本属のすべての種を含む検索表の公表にむけた論文の準備をしている。
|