2022 Fiscal Year Research-status Report
ミズクラゲの大発生メカニズム:越冬親クラゲの寄与の解明
Project/Area Number |
21K14909
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
鈴木 健太郎 一般財団法人電力中央研究所, サステナブルシステム研究本部, 主任研究員 (60638005)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ミズクラゲ / 越冬 / 個体群動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ミズクラゲの大発生メカニズムの解明を最終的なゴールとして,親クラゲの越冬が翌春の親クラゲ量に与える影響を明らかにすることを目的とする.具体的には,舞鶴湾をモデルフィールドとして,「翌春における越冬親クラゲの存在」および「越冬親クラゲによる冬の産卵による新規加入」の両面から,越冬した親クラゲの大発生への寄与を推定する計画である.
2年目である本年度は,1年目と同様に,春~初夏および冬季の舞鶴湾において調査船による調査を実施し,親クラゲおよびエフィラ(稚クラゲ)の現存量,繁殖状況の経時変化 を把握した.また,フィールドにおけるポリプからのエフィラ放出時期を把握するため,フィールド環境を模した環境下での室内飼育実験を実施した.
舞鶴湾の親クラゲは,1年目の2021年5月に大きく減少した後,2022年4月まで1個体も観測されなかった.2022年5月に少数の親クラゲが存在したが,6月以降は再び1個体も観測されなかった.舞鶴湾におけるエフィラ出現の盛期は平年であれば1~4月である.また,室内実験からは,2022年度冬~春におけるポリプからのエフィラの放出盛期は1~2月だと推定され,舞鶴湾での観測でも1~2月にエフィラの出現が確認されたものの,その個体数は通常の年の10%未満だと推定された.これは,夏・冬の産卵をする親クラゲがほとんど存在しなかったことが原因だと考えられる.成果の一部は,書籍(分担執筆)および招待講演(1回)として公表された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で思うように調査・実験ができない中ではあったが,ミズクラゲ現存量の経時変化データを取得できた.2022年度は,2021年度に引き続き,親クラゲがほとんど越冬しないという舞鶴湾としてはとても珍しい状況であり,越冬親クラゲの大発生への寄与を理解する上では重要なデータとなると思われる.また,成果の一部を書籍と招待講演として公表できた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続きミズクラゲの現存量の経時変化データを取得するとともに,2020年度以前までに取得してきたデータと比較・解析することで,越冬親クラゲの大発生への寄与の推定を試みる計画.
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため出張に制限が生じ,当初予定していたより旅費が少額になったため.次年度使用額は,舞鶴湾での調査にかかる旅費,研究発表に係る学会参加費等に使用する予定である.
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Research Products
(2 results)