2021 Fiscal Year Annual Research Report
Using nitrogen isotope analysis of otoliths to understand long-distance migrations of fish
Project/Area Number |
21K14910
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
原田 洋太 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学センター), ポストドクトラル研究員 (10893711)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 耳石 / 窒素同位体 / 回遊魚 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化の進行とともに広域回遊魚の回遊経路が変化し、国際的な資源管理がより困難を極めることが予想される中、これらの生物の回遊経路を正確に推定することが強く求められている。サンマなどの小型回遊魚の回遊経路を推定するために、近年、耳石の酸素同位体比分析が使用されるようになった。しかし、海水温に強く依存する酸素同位体比では一般に、海水温の変化がより顕著な緯度方向の移動についてはわかるものの、経度方向については明らかにすることが難しい。そこで、耳石の他の定量的な情報を組み合わせた解析が不可欠である。本研究では、小型回遊魚の回遊履歴を精度良く推定するために、窒素同位体比の微量測定法を応用して耳石日周輪に沿った時系列窒素同位体比分析を実施し、対象の個体が回遊中に食べた餌の履歴を復元する手法を開発した。この新しい手法は、さまざまな水産有用種への応用が可能であることも明らかにした。
また、眼球の同位体分析による、回遊魚の移動履歴復元手法の開発も行った。マサバを対象として水晶体の同位体分析方法の開発を行い、その研究結果を論文にまとめた(Harada et al. in review, Frontiers in Marine Science)。水晶体を用いて、稚魚期から捕獲時を含む一生を通しての同位体比履歴を高時間解像度で復元する方法を開発した。個々のアミノ酸の窒素同位体分析から魚の成長と共に変化する栄養段階の履歴、それに加えて回遊中に食べた餌の窒素同位体比の履歴も復元する事が可能になった。今回開発した水晶体の分析方法はあらゆる日本の有用種、例えばサンマやアジにも利用する事ができることも検証し分かった。
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