2021 Fiscal Year Research-status Report
海産白点虫の摂餌機構および宿主細胞へのアポトーシス誘導メカニズムの解明
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21K14914
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
渡邊 勇歩 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 特任研究員 (40895893)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 海産白点虫 / 魚類寄生虫 / アポトーシス / 機能解析 / in vitro培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
海産白点虫の摂餌における宿主細胞のアポトーシスの役割の検証、ならびにアポトーシス誘導メカニズムの解明のため、本年度は以下の研究を実施した。 予備研究において、虫体周囲の宿主細胞は核の濃縮と断片化を起こし、虫体はその細胞を取り込むことが観察されている。このことから本虫が宿主細胞にアポトーシスを誘導し、生じたアポトーシス小体を摂食、これを栄養としてシスト内で分裂し、娘細胞を産生するという仮説が考えられたが実証には至っていなかった。そこで、海産白点虫に感染した実験魚の組織切片を作製し、TUNEL法による宿主組織中のアポトーシス細胞の検出を試みた。その結果、虫体周囲の宿主組織および虫体内からアポトーシス細胞が検出され、本虫が宿主細胞にアポトーシスを生じさせ、それを摂食していることが確認された。 一方、本年度の研究で海産白点虫のモノクローナル化手法の確立に成功したため、今後はこのモノクローナル化した虫体からDNA・RNAを抽出し、全ゲノム配列の取得、これをリファレンス配列としてトランスクリプトーム解析を行い、寄生期虫体で発現するアポトーシス関連遺伝子等の網羅的取得を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の大学異動と新規所属機関での各種申請に時間がかかり、研究はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞の形態、核DNAの泳動像、TUNEL法などから宿主細胞がアポトーシスを生じていることは明らかであるため、今後は各アポトーシス経路に対する選択的阻害剤を添加したin vitro培養系内での虫体培養試験、各経路の活性化により特異的に産生されるカスパーゼなどの物質の検出(免疫染色)を実施し、海産白点虫のアポトーシス経路の特定を目指す。また、海産白点虫の全ゲノム配列の取得およびトランスクリプトーム解析を行い、アポトーシスの誘導に関与する可能性のある遺伝子の取得を試みる。
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Causes of Carryover |
研究代表者の異動に伴い、研究の実施が遅れている。当初予定していた、海産白点虫のゲノム配列の取得、トランスクリプトーム解析に次年度使用額を含め使用する予定である。
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