2022 Fiscal Year Research-status Report
条件不利地域における香酸柑橘類のサプライチェーン構築による産地維持戦略
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21K14936
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
大坪 史人 別府大学, 食物栄養科学部, 講師 (30803069)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 香酸柑橘 / レモン / カボス / ジャバラ / サプライチェーン / 条件不利地域 / 産地維持 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、条件不利地域で生産される香酸柑橘類に焦点をあて、その生産・流通について明らかにするもので、香酸柑橘類の生産量に応じた品目分類を行い、その生産・流通体制を体系化することで日本各地に点在する柑橘産地の労働力問題を改善させ、農村の維持発展に寄与することを目的としている。 レモンにおいては、近年の生産流通に関する論文やJA広島ゆたか、JA広島果実連から提供いただいた過去のデータの整理を行い動向の確認を行った。また大手清涼飲料メーカーで、大崎上島町にて自社レモン農園を設立し、産学官の連携を図りながら農業振興を進めるP社の大崎上島町での生産活動や他の香酸柑橘類への興味をヒアリングにより調査した。WEB会議や広島大学での打ち合わせ等を複数回行い、その動向を調査した。これらから、生産量が少ない地元に根差した香酸柑橘類においても、メーカー需要は一定数あり事業展開が望めることを把握することができた。この結果ジャバラだけでなく、大分近郊のヘベスなど様々な品目への研究の発展性も示唆された。 カボスの生産流通過程においては、国東市、竹田市、豊後大野市を中心にヒアリング調査を行い、生産販売データの収集と県内加工業者の仕入れ動向を調査した。大分県内でカボスの生産から加工品の生産まで一貫して行う豊後大野市のA社や別府市のK社において、自社での生産とカボスの仕入れ過程等についてヒアリングを行い、カボスの加工用需要の拡大を把握した。また、カボスを使った洋菓子店を開業した別府市のY社においてカボスのサプライチェーンの構築が不安定であり安定的な製造が難しといった課題のねん出ができた。加工用需要の拡大が見込まれる中での生産動向、加工会社の調達動向の把握と、サプライチェーンの構築のあり方に対する課題が浮き彫りとなった。 ジャバラについては、現状まだ直接的な調査は行えていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度に新型コロナウィルスの感染拡大ならびに調査地域の都道府県の「まん延防止等重点措置」の適用が調査予定と重なったため県域をまたぐ往来が困難となった。 これらにより対面による研究打ち合わせや現地視察が困難となったため県外地域の調査活動が遅れた。 2022年度も引き続き、コロナ禍においてヒアリングやアンケートの対象が高齢者ばかりになるため現地調査は控える形とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、2022年度予定していて自粛することになった調査を一気に行うことになる。レモンにおいて、広島県のJA広島ゆたか管内地域の農家に個別の生産動向をアンケート調査及び現地ヒアリングにより行う。またJA外の取引状況とP社など大企業の調達をヒアリング調査も再開する。 カボスにおいては、JAおおいたの加工会社や地元の土産物生産会社を中心に調達動向のヒアリング調査を継続する。また、農家個別アンケート調査の準備を大分県やJAと話し合い生産振興の在り方、出荷要因、自家消費の割合等を明らかにしていく。ジャバラは、JAみくまのや和歌山県、北山村役場などにおいて生産・出荷の動向を調査し、加工用需要の動向を分析し、地元の土産物生産会社を中心に既販売の商品における調達動向をヒアリングにて調査する。 研究報告の場に関しては、日本農業市場学会、食農資源経済学会を中心に発表・投稿等を行う予定であったが学務の都合上学会参加が難しい状態となっているため、小職が加入しているもしくは今後研究報告が可能となりそうな学会を選定し、発表の場を広げていくことにする。 2022年度も引き続き、新型コロナウィルスの感染拡大により高齢者が中心のヒアリングとなるため、自主的に現地視察を控えたため、旅費支出が予定よりも執行できなかった。 2023年度は、過去2年間で行えなかった現地調査等も行う予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度も引き続き、コロナ禍においてヒアリングやアンケートの対象が高齢者ばかりになるため現地調査は控える形としたため。
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