2022 Fiscal Year Research-status Report
Quantifying effects of plant root growth on soil thermal properties and developing in-situ plant root density measurement
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21K14940
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小島 悠揮 岐阜大学, 工学部, 准教授 (70767475)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 植物根 / 土壌 / 熱輸送 / X線CTスキャン / 画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,地表面近傍土壌の熱輸送量評価において,これまで着目されてこなかった植物根の生長が土壌の熱輸送特性に与える影響を解明することを目的としている.2022年度はより詳細に土壌構造と植物根の関係性を解明し,熱輸送特性の解析を進めるためにX線CTスキャンを用いて土壌(豊浦砂)中の植物(ギニアグラス)根,土粒子,土壌水分および土壌空気の分布を評価した.その結果,以下の成果を得た. ①CTスキャンによって,リージョングローイング法に基づいた根の分節化を実施した.その後,残された領域について輝度ヒストグラムから土粒子,土壌水分,土壌空気を分節化することで,土壌カラムのCTスキャン画像を元に各土壌構成要素ごとの画像の生成に成功した.これにより各構成要素の分布傾向を把握可能となった. ②豊浦砂にて栽培したギニアグラスの根は,地表面付近では地上部の安定性向上のために水平方向への伸長が多くみられ,反対に深度が増すと鉛直方向への伸長が主となることが分かった.その際,地表面付近では根の周囲は土壌空気が支配的であり,土壌水分は根とあまり接触していないこと,深度が増すにつれて土壌水分と接触する植物根が増えることが明らかになった. ③CTスキャンと画像解析によって得られた各土壌構成要素の分布図から,土中の熱の流れを熱伝導解析によって簡易的に評価した.先述した地表面付近とある程度深い土壌層では,土壌構成要素と植物根の接触状況等が異なるため,土壌中の熱の流れ方と植物根の寄与が異なることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度に明らかになった土壌と植物の種類,その組み合わせによって土壌の熱輸送特性が変化する現象の解明のため,センサによる評価からX線CTスキャンによる評価に移行した.X線CTを用いて土壌中の植物根と土壌の構成要素を分離することができ,現象解明に向けて重要な手法を確立できた.1種類の植物種と土壌種に限定はされるものの,CT画像から植物根の成長傾向や,土壌構成要素との関係性を評価できた.更にCT画像に基づいた植物根を含む土壌中の熱輸送解析に着手し,簡易的な評価は実現できた.また,将来的な展開を踏まえ,岐阜県内の気候変動による土壌環境変化予測に着手した.
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Strategy for Future Research Activity |
植物根と土壌構成要素の関係性の解明に向け,植物種や土壌種を増やしてX線CTによる解析に取り組む.特にひげ根や主根側根といった根の形状の異なる植物種での評価に注力する.CT画像中の熱の流れを再現する手法について検討する.
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Causes of Carryover |
CTスキャンと画像解析による植物根混入土壌の熱輸送特性評価をより優先すべき研究項目として取り入れたため,室内試験や野外試験に掛かる経費が残されたままとなっている.これらの実験項目は計画修正をした上で次年度に実行し,消化することとした.
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