2022 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of objective wildlife damage area estimation technology, and verification of error conditions between the estimated objective indicators and the subjective damage perceptions
Project/Area Number |
21K14942
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
中村 大輔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 主任研究員 (30728556)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 鳥獣害 / イノシシ / ドローン / 被害量推定 / 主観的認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、客観的な被害量推定技術を確立することにより対策運用の理論強化に資することを目的としている。そのため、i)これまで主に主観的判断にゆだねられていた被害指標を客観的な指標として導出する手法を確立し、ii)確立した客観的指標と主観的認識の一致性を社会科学的手法で検証する、2通りの手法をおこなう。 i)について、飼料自給率向上のために今後普及が期待される子実用トウモロコシ畑を対象に、空撮地点を複数設定した。試験場内における空撮は実施可能であったが、大規模栽培農家には被害量推定試験の説明および依頼をおこなったものの、コロナ禍による外出規制や昨今のイノシシ頭数減少に起因する被害そのものの減少により、イノシシ被害農地の撮影が困難な現状がある。そのような中で、イノシシ以外の被害状況の空撮も試行している。また、千葉県において客観的な被害量調査と簡易電気柵の経営面を配慮した調査研究の結果を投稿中であり、そこでは、飼料作物や水稲作等の単位面積当たりの粗収益が高いとはいえない作物は、総延長100m以下の小規模な柵の設置では経営面から推奨されないうえに、農地あたりで大規模な被害が想定されない場合は広域柵を設置したとしても費用便益が無くなってしまう場合があることを実証した。ii)の試験はi)と同様の試験地であることが望ましいため、引き続きi)とii)を同時に実施できる対象地域に依頼しており、被害地域での実証をおこなう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題申請時にはドローン操縦に熟練した職員が多数所属先に勤務しており、対象圃場が所内に確保されている環境であった。しかし、課題担当者の異動によりそうした状況が一変し、想定していた試験の環境設定から取り組む必要があった。また、農作物の被害量推定は収穫前に実施するものであるが、対象として試験設定の準備や依頼をすすめていた子実用トウモロコシ畑の収穫時期(8月中旬ごろ)がコロナ禍の緊急事態宣言の期間と重なってしまい、勤務先の越県出張禁止措置により課題担当者が依頼していた調査地への出張が全て不可能となった。それらに対応するため、急遽、農研機構内の試験圃場の子実用トウモロコシ畑において空撮を依頼し、数区画であるが被害圃場の空撮サンプルを得た。さらに、依頼した農地付近ではイノシシの個体数が激減しており、被害そのものがほとんどなくなっているため、被害農地の確保がかなり困難になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は課題担当者の異動およびコロナ禍によりサンプルサイズが不十分となる事由が生じ、令和4年度はイノシシの個体数急減による被害圃場確保が困難となる事態となった。今年度は引き続き空撮件数を増やし、空撮のデータを増やすことを想定している。解析の方針としては、従来欧州で確立されている被害面積から被害量を推定する手法に加えて、農家の利用が簡易となるようオルソモザイク処理を実施せずに被害本数をカウントする手法の提案に向けて解析をおこなう。また、社会科学的検証を実施するために引き続き被害農地を公設試等に募集しており、見込みがある状況である。
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