2022 Fiscal Year Research-status Report
ブームスプレーヤによる無人防除のための自動散布高さ制御システムの開発
Project/Area Number |
21K14944
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
藤本 与 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (00895386)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ブームスプレーヤ / 大規模畑作 / 散布高さ / 無人作業 / ドリフト |
Outline of Annual Research Achievements |
北海道の大規模畑作地帯で利用される大型のブームスプレーヤを対象として,農薬の均一散布を実現するために散布高さ検出装置を開発する。ブームから作物までの散布高さは,複数の光位置検出素子(PSD:Position Sensitive Detector)を利用して検出する。令和4年度の研究実績を以下に示す。 ①検出装置の外装設計:電子部品の調達に困難が生じ,散布高さ検出装置の基板設計が遅れたため,初年度の実施項目であった外装設計を行った。昨年の実験結果から,PSDの取り付け角度を6度以上にすることで装置を小型化できることを確認した。そのため,これまでに試作した検出装置と比較して体積比で50%,重量比で30%の削減することを設計の目標とした。3Dプリンタを利用して試作を繰り返し行い,体積は約0.52L(55%減),重量は172g(52%減)になり目標を達成できた。 ②走行台車による作物列の検出実験とアルゴリズム作成: 構成部品に変化がないものの,小型化された外装設計によりPSDの配置が大きく変更したため,作物を検出する赤外線の照射位置に変更が生じた。そのため,検出アルゴリズムの変更にどの程度影響が出るのかを実施の作物列を対象に検出実験を行った。実験結果から,小型化される前の装置と同様の検出値を得られた。 ③ブームの開閉動作の自動化:無人防除を実現する際,枕地旋回でブームを自動で収納することで,周辺の電柱や樹木への接触や,道路にブームが侵入することを防ぐことができる。本年はスプレーヤの19個ある電磁弁を自動化する制御システムを構築した。ブームには近接センサと角度センサを取り付けて確実な動作を実行できるように設計した。動作実験では手動操作で人間が行う開閉時間と同様の40秒程度で自動化を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度の計画に加えて初年度に残した開発項目を実施できたため,おおむね順調に進展している。当初の計画通り,前半の2年間で検出装置の開発を進め,後半から散布高さシステムなどを含めた実作業に関連する自動システムの開発を実験圃場で行う。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は以下の開発項目を実施する予定である。 ①自動散布高さ制御システムの開発:これまでに試作した検出装置と自動化した油圧システムを用いて,ブームから作物までの距離を一定に保つ自動システムを開発する。制御対象のブームは全長約20mと長大であるため,油圧シリンダの細かな制御が必要である。作物や土壌へ接触によるブームの破損を防ぐため,比例弁を利用した制御システムを開発する。 ②精密散布システムとの連携:無人防除の実現には,二重散布を防止する精密散布が重要である。そこで,セクションコントロールを利用したシステムを構築する。既存の散布システムと本研究で開発するシステムを連携させることで実現を目指す。
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