2021 Fiscal Year Research-status Report
Carbon-balance-based prediction of flowering and fruiting of crop canopies
Project/Area Number |
21K14946
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
野村 浩一 高知大学, IoP共創センター, 特任研究員 (90897852)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光合成 / 呼吸 / 炭素収支 / LAI / 画像解析 / モデル化 / タイムラプスカメラ / 果菜 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナスやトマトなどの果菜類の果実収量を高精度で予測するためには,将来,果実となる“花”の数を予測する必要がある.本研究では,ナスの開花・着果数を,炭素収支(光合成による炭素の獲得とその使途)に基づいて予測する技術を確立する.初年度の2021年度においては,果菜の炭素収支に関する各種基礎実験を行い,以下のような研究成果を得た. ・ナスの炭素収支(光合成,呼吸)を計測するための装置(個体群チャンバー)を自作した.この装置を用いて,様々な作物(ナス,トマト,パプリカ,ユズ,ニラ)の炭素収支を実測した.得られた実測結果から,果菜(トマト,パプリカ)個体群の炭素収支を数理モデル化した.この数理モデルを用いて,果菜の炭素収支に対する,温室部材や遮光カーテンの影響を定量的に評価した. ・作物の炭素収支を左右する葉の量(葉面積指数; LAI)を,タイムラプス画像により推定する技術を開発し,周年栽培作物(ナス・ニラ)のLAIの長期・連続評価に適用した.カメラの画角を考慮することにより,従来提案されていた手法よりも高精度なLAI評価を実現した.さらに,画像から推定したLAIと,その他の生体情報(葉の新鮮重や草丈など)とを結びつけることにより,非破壊で生体情報をモニタリングする手法を提案した. ・ナス個葉の炭素収支を,携帯型光合成・蒸散計測装置(LI6800)により定期的に計測し,個葉スケールでの基礎データを収集した.個葉炭素収支の観点から,最適LAIについて検討した. ・これらの成果を,学術誌(2報)や国内学会(1報),国際シンポジウム(1報)にて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,ナスの炭素収支(光合成,呼吸)の実測方法や,LAIの評価方法を確立した.これらの技術および実測データは,次年度以降の炭素収支の数理モデリングにおいて,重要となる.一方,ナスの花や果実の計測はやや遅れている.次年度の研究においてリカバリーを試みる.
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Strategy for Future Research Activity |
進捗がやや遅れているナスの花や果実の計測,モデル化について,重点的に研究を推進する.
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Causes of Carryover |
実験用試薬(同位体炭素で標識した炭酸バリウム)の購入が遅れたため,10万円程度の残金額が生じた.次年度に当該実験を行うことにより,残金額も含めた予算を消化予定である.
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