2022 Fiscal Year Research-status Report
ビッグデータ解析によるハスモンヨトウの好適発生条件の解明と発生予測手法の開発
Project/Area Number |
21K14951
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
川北 哲史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, 研究員 (80782606)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 時系列解析 / ハスモンヨトウ / 害虫発生予測 / 個体群動態 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度も引き続き①申請者が開発した害虫モニタリング装置を使って複数地点におけるハスモンヨトウの日単位の捕殺データの収集を行った。さらに②これまでに公設試験場等で蓄積されたフェロモントラップによる捕殺データを利用し、ハスモンヨトウの捕殺数を目的変数とし、周辺地域の捕殺データや気象データ等を説明変数とした統計モデルの作成による、発生に寄与するパラメータの同定と評価を行った。①のデータ収集については装置を広島県内各地に設置し、約10地点における複数環境下での日単位のハスモンヨトウの捕殺データを収集することができた。さらに、収集した害虫の捕殺データに関してこれらを利用した病害虫による被害リスクを予測する仕組みについて特許一件を出願した。装置に関しては、既存のトラップとの捕殺推移の違いを検証し、捕殺数には違いがあるものの、捕殺のトレンドや増減についてはおおむね既存のトラップと一致していることを確認した。装置に関する研究内容について現在国際誌に論文を投稿している。②の統計モデルの構築については、2021年度までに開発したARIMAX(AutoRegressive Integrated Moving Average with eXogenous variables)モデルのほかに、ランダムフォレストや、リッジ回帰などの手法を組み合わせたアンサンブルモデルを導入し、発生予測の高度化を検証した。得られた成果の一部については、国内の学会で一件、カナダでの国際学会で一件それぞれ発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
害虫モニタリング装置の設置および日単位の捕殺データ収集については、一部装置が故障するトラブルがあったが、ほぼ予定通りに進んでおり、開発した装置に関する論文化や捕殺データの利用に関する知財化も順調に進めている。既存データを活用した統計解析についても予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
害虫モニタリング装置の設置を広島県内各地で今年度も引き続き行い、多様な環境下における日単位のハスモンヨトウの捕殺データ収集に努める。今後は開発した装置を通じて得た日単位のデータを活用して、飛来性害虫の大量発生駆動要因の検証や、AI等の新技術を活用した新しい発生予測手法等の開発に取り組む。
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Causes of Carryover |
申請当時に予定していた関東や関西における研究打ち合わせ、集会等への出張がオンライン開催となり、現地に行く必要がなくなったため次年度使用額が生じた。また、当初予定していたレーザー加工機の保守点検については、当該年度はメーカーに機材を発送して点検作業せずに、保守することができたため、次年度へその分の保守経費を繰り越すことにした。翌年度は引き続き、害虫モニタリング装置の設置と圃場調査、学会発表、研究打ち合わせ等への旅費と、通信費、装置に関する消耗品の購入、レーザー加工機の保守等に研究費を使用する予定である。
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