2021 Fiscal Year Research-status Report
Verification of the repellent effect of bear invasion prevention fences to prevent damage to humans and crops
Project/Area Number |
21K14954
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
野田 龍 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 准教授 (00626955)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ツキノワグマ / トウガラシ / 忌避 / 飼育 / 野生 / 暴露試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
クマ避け杭に用いる木栓にはトウガラシやアルコール類で作製した混合液を染み込ませてあり、ツキノワグマに対して忌避効果があることが分かっている。本研究では、この混合液に含まれる忌避成分を特定し、忌避効果の持続期間を明らかにすることを目的とする。 当該年度は以下(1)~(3)の検討を進めた。 (1) 忌避成分の特定と時間的変化の検証:混合液および混合液を含浸させた木栓をガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)で分析したところ、ツキノワグマが忌避しているであろう成分の特定を行うことに成功した。また、混合液を含浸させた木栓を取り付けた試験体を屋外に設置し、木栓を定期的に回収し、GC/MS分析を行った。その結果、特定した忌避成分の残存量は、時間の経過とともに減少していくことを明らかにした。 (2) 飼育個体を対象とした忌避効果の検証:忌避成分の混合方法を変化させた複数の処理条件を基に、ツキノワグマの飼育個体(オス・メス各1頭)を対象に動物実験を実施し、試験体に対するツキノワグマの挙動を把握した。 (3) クマ侵入防止柵の効果検証:ツキノワグマの被害が確認されている果樹園を対象に、クマ侵入防止柵とセンサーカメラを設置してツキノワグマの出現の有無およびクマ侵入防止柵に対する挙動の把握を行った。クマ侵入防止柵とセンサーカメラは果実が実り始める7月下旬から収穫終了後の11月初旬まで設置し、定期的にデータの回収を行った。また、定点カメラを設置して、木栓表面の経時変化を把握した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で計画していた、(1)忌避成分の特定と時間的変化の検証、(2)飼育個体を対象とした忌避効果の検証、(3)クマ侵入防止柵の効果検証について、すべて当該年度にスタートさせることができた。(1)では、忌避成分を特定することに成功し、現在、時間的変化の検証を進めているところである。(2)(3)についても関係者の協力の基、十分な知見を得ることができた。これらは当初の計画通りであるため、"おおむね順調に進展している"と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)忌避成分の特定と時間的変化の検証では、当該年度に設置した暴露試験体を用いて時間的変化の検証を進めていく。(2)飼育個体を対象とした忌避効果の検証では、複数の処理条件のうち、忌避効果の可能性が得られた条件に絞って再現性を含めた検証を進めていく。(3)クマ侵入防止柵の効果検証では、当該年度とは別の場所を対象に、ツキノワグマに対する忌避効果の検証を進めていく。
|