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2022 Fiscal Year Research-status Report

畜産動物における苦味受容特性の分子基盤の解明

Research Project

Project/Area Number 21K14957
Research InstitutionIbaraki University

Principal Investigator

吉田 悠太  茨城大学, 農学部, 助教 (00875023)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords苦味受容体 / ウズラ / ニワトリ
Outline of Annual Research Achievements

味覚は、動物の摂食行動を制御する化学感覚である。従って、畜産動物の味覚受容機構の解明は、畜産動物の効率的な飼養管理技術、及び新規飼料材料の開発につながる。畜産動物の飼養において食品残渣などを利用したエコフィードの利用が推進されており、多くの植物由来の飼料材料に含まれる苦味成分に対する畜産動物の反応性を検討する必要がある。本研究では、畜産動物の一種であるウズラの苦味受容機構に着目している。現在までに、行動学的解析によりウズラが複数の苦味成分に対して忌避を示さないことを見出しており、ウズラは苦味に対する感受性が低い、もしくは感じていない可能性が考えられた。そこで組織学的な解析を実施し、ウズラの口腔組織に味蕾が存在すること、及び哺乳類の味細胞に存在するタンパク質であるガストデューシンが、ウズラの味蕾に局在することを確認した。ウズラのゲノムには3つの苦味受容体が存在しており、それらの中でもウズラの口腔組織においては、主にT2R7が発現していることを定量PCR法により明らかにした。ウズラのT2R7のアミノ酸配列と苦味に敏感なニワトリのT2R7のアミノ酸配列を比較したところ、苦味成分と相互作用することが知られるアミノ酸残基のほとんどが変異していることが明らかになった。そこで、現在培養細胞を用いた味覚受容体再構築系を用いて、ウズラのT2R7の苦味成分に対する応答性を検討している。本研究により見出されたウズラが苦味を感じにくい性質を生かして、苦味を有する植物由来の食品残渣を積極的に利用することで、環境負荷の少ない畜産を展開できる可能性がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

現在までに、ウズラを用いた行動学的解析、遺伝子発現解析、及び組織学的解析を通じて興味深い結果が得られており、ウズラは苦味感受性が低い、もしくは苦味を感じていない可能性を見出すことができた。ウズラの苦味感受性の低さは、畜産動物としての強みになり得る。エコフィードに利用される植物性の食品残渣は、植物アルカロイドのような苦味成分を含む場合がある。他の畜産動物種には嗜好性の悪さのために利用できなかった飼料材料をウズラに積極的に利用することで、持続可能性の高い畜産が可能になるかもしれない。ウズラが酸味溶液を忌避したこと、組織学的な解析によりウズラの口腔組織に味蕾が観察されたこと、及びウズラとニワトリの苦味受容体のアミノ酸配列の比較から、ウズラの苦味感受性の低さは、苦味受容体の機能に起因する可能性があると考えている。現在は、ウズラが持つ苦味を感じにくい性質の分子基盤を明らかにするため、ウズラの苦味受容体の機能解析系の構築を進めている。

Strategy for Future Research Activity

来年度は、ウズラのT2R7の機能解析系を構築し、ニワトリのT2R7の機能との比較解析を実施する。本解析により、ウズラが苦味を忌避しない分子基盤を明らかにする。苦味受容体の機能に差がみられた場合は、アミノ酸配列を改変した苦味受容体を作製し、動物の苦味感受性に関与するアミノ酸残基の特定を実施する。

Causes of Carryover

物品費に端数が生じたため。残額は次年度に物品費として利用する。

URL: 

Published: 2023-12-25  

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