2021 Fiscal Year Research-status Report
腸内菌叢数値化法を基盤とした健全な腸内環境を安定化する乳酸菌生菌剤の創製
Project/Area Number |
21K14959
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
重盛 駿 信州大学, 先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所, 助教(特定雇用) (90803487)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腸内生態系 / 生菌剤 / 乳酸菌 / マウス / 腸内細菌 / ゆらぎモデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、腸内生態系(gut ecosystem, GES)の安定性を評価するマウスモデルを作出し、同モデルを用いて代表的な生菌剤(Lacticaseibacillus rhamnosus GG, LGG菌)の保健効果を評価した。 健常な成マウスに、高脂肪飼料(HFD)と通常飼育飼料(Chow)を1週間ごとに切り替えて給餌することで、GESの撹乱と回復を誘導した。同様の給餌パターンを24週間継続し、その間、1週間毎の体重測定と新鮮便採取を実施した。試験開始日から14週目まで、HFDの摂食により増加した体重は、その後のChow摂食によりベースライン(Chowのみを摂食した場合の体重)まで回復した。一方で、16週目以降の体重は、Chow摂食後においても、ベースラインと比較して有意に増加した。加えて、24週目における内臓脂肪量や血清レプチンレベルが健常マウスと比較して有意に増加し、脂質代謝の異常が示唆された。すなわち、HFDによるGESの断続的な撹乱により、宿主の健康状態がゆらぎながら維持され、やがて破綻する過程を再現したマウスモデル(「ゆらぎモデルマウス」と命名)の構築に成功した。同モデルにLGG菌を連日経口投与したところ、体重増加の速度が遅延し、最終的な体重増加率が著しく減少した。すなわち、LGG菌は宿主の健康安定性を高める可能性が示唆された。現在、経時的に採取した糞便を用いて細菌叢の網羅的解析を実施中であり、得られたデータを基にGESの変動経過と健康状態を数値化する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゆらぎモデルマウスに係る動物実験が進展した。GESの安定化に寄与する可能性がある候補乳酸菌(LGG株)を発見した。糞便細菌叢解析に一部着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
ゆらぎモデルマウスの糞便細菌叢の変動経過を解析し、GESの「健康状態」を数値化する。本値を用いて、LGG株がどの程度GESの安定化に寄与するか定量的する。加えて、LGG株の投与により変動する腸内細菌を洗い出し、GESが安定化する機序を探索する。
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Causes of Carryover |
令和3年度は、生菌剤投与実験を含めた動物試験を予定を前倒して実施した。伴って、同年度に予定していた次世代シーケンサーを用いた細菌叢解析は令和4年度に実施することとした。従って、同実験で使用を予定していた物品費を令和4年度に繰越し、本年度内に使用する計画である。
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Research Products
(3 results)