2022 Fiscal Year Research-status Report
放射線による中性アミノ酸代謝動態の解析とこれを標的とした新規がん治療法の開発
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21K14971
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
房 知輝 山形大学, 医学部, 助教 (90878141)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がん / 中性アミノ酸 / 放射線 / エネルギー代謝 / 分岐鎖アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞では糖代謝に加えてアミノ酸代謝にもリプログラミングが生じており、特定のアミノ酸に代謝を依存するがん細胞種も複数報告されている。その中で、中性アミノ酸ががんの生存に対して果たす役割をエネルギー代謝の観点から報告した知見はこれまでにない。申請者は、がん細胞内の中性アミノ酸量が放射線により増加する結果を得たことから、放射線照射が中性アミノ酸代謝を亢進し、これが放射線照射後の細胞生存に働くのではないかと仮説を立てた。本研究では仮説立証のために、がん細胞における中性アミノ酸の動態を エネルギー代謝の面から解析し、中性アミノ酸代謝の放射線応答についても調べる。また、これらの検討から、がん細胞の中性アミノ酸代謝を標的とした新たながん治療法の開発を目指す。 本年度は前年度に引き続きLC/MSを用いた放射線照射後のがん細胞の中性アミノ酸代謝応答を評価し、中性アミノ酸代謝に関連する酵素の阻害剤やRNAi処理と放射線照射との組みあわせの影響を評価している。また、前年度とは他種のがん細胞株においても、中性アミノ酸代謝酵素の阻害剤およびRNAi処理が放射線増感効果を示すことを明らかにした。また、放射線照射後に中性アミノ酸代謝酵素の活性化を示唆するデータを新たに得た。このことから放射線照射後に中性アミノ酸代謝が亢進することで放射線誘発細胞死から逃れていることが示唆されてきた。引き続き、中性アミノ酸代謝阻害による放射線増感メカニズムの解明を今後検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度にX線照射装置が使えなかった期間があり、研究進捗がやや遅れていると判断した。 本年度は私事により研究時間が制限されており前年度の遅れを取り戻せておらず、前年度同様にやや遅れていると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに中性アミノ酸代謝を抑制した際に放射線感受性を増加させる知見を得ていることから、その増感メカニズムを明らかにするための計画を予定している。具体的には、アポトーシスや細胞老化といった細胞死様式を特定することに加えて、ミトコンドリア機能やDNA損傷修復に与える影響を評価する。 また、上記のin vitroでの放射線増感メカニズム解明に加えて、マウス移植腫瘍モデルを用いた放射線増感効果を観察を予定している。
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Causes of Carryover |
実験試薬として主に助成金を使用してきたが、微細な残金が生じたため翌年度に繰り越した。 翌年度は主に物品費および国内外への学会参加費としての使用することに加えて、論文投稿費用として使用予定を計画している。
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