2023 Fiscal Year Annual Research Report
MDSCの免疫抑制機構に着目した犬の胎子免疫寛容誘導メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K14989
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
小林 正人 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (60898063)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リラキシン / MDSC / デキサメタゾン / 犬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、リラキシンの免疫抑制効果を検討するために、リラキシンとステロイドであるデキサメサゾンの免疫抑制作用を比較した。また、流産モデルマウスを用いてリラキシンの治療効果を検討するため、本研究ではまずマウスリラキシンのリコンビナントタンパクを作製することにした。 犬の末梢血液単核細胞を抽出してCFSE染色を行い、Con-AによりT細胞を活性化させる。そこに犬リラキシン、デキサメタゾン、そしてステロイド拮抗薬であるミフェプリストンを投与して三日間培養し、T細胞の増殖率を解析した。その結果、デキサメタゾンおよびリラキシンはT細胞活性を抑制し、ミフェプリストンによりデキサメタゾンの免疫抑制作用は阻害された。一方で、リラキシンの免疫抑制作用は完全には抑制することができなかった。したがって、リラキシンによる免疫抑制作用はデキサメタゾンとは異なる機構が存在することが示された。次に、リラキシンによる流産に対する治療効果を検討するために、マウスリラキシンのリコンビナントタンパクを作製した。CMVプロモーターを有するタンパク発現ベクターにマウスのリラキシン遺伝子をIn-Fusionクローニングシステムを用いて挿入し、さらにそのC末端にHis tagを組み込んだ。その後、FCSフリーで発育できる293F細胞を使用してタンパク合成を行った。作製したマウスリラキシンはウエスタンプロットにより確認した。 本研究より、リラキシンによる免疫抑制作用は免疫抑制剤として広く使用されているステロイドと異なることを明らかにした。また、本研究よりマウスリラキシンタンパクの合成が完了したため次回は流産モデルマウスに対してリラキシンの治療効果を検討する。
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