2022 Fiscal Year Research-status Report
イヌ悪性腫瘍に起因するDICの新規治療法の確立を目指した基盤研究
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21K14992
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
小林 宏祐 岡山理科大学, 獣医学部, 助教 (40876893)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イヌ血管肉腫 / 組織因子 / トロンボモジュリン / 凝固亢進 / スタチン |
Outline of Annual Research Achievements |
イヌ血管肉腫細胞株に対する脂溶性スタチンの抗腫瘍効果ならびに凝固調節能をin vitroで検証した。3種の細胞株にAtorovastatin(Ato),Fluvastatin(Flu),およびSimvastatin(Sim)を0-100μMで添加したところ,48時間培養時点で容量依存的な細胞傷害性を示し,Ato<Flu<Simの順に強い効果が認められた。細胞株間での感受性の差も認められた。さらに24時間培養時点における凝固亢進活性を有する組織因子(TF)と凝固抑制活性を有するトロンボモジュリン(TM)のmRNAレベルおよびタンパクレベルでの発現をそれぞれreal-time PCR法およびフローサイトメトリー法で解析した。mRNAレベルの解析では,用いた3種の細胞株すべてにおいて有意なTF発現の減少を認めた。TMの発現に関しては3種のうち2種の細胞株において有意な発現の上昇を認めた。タンパクレベルでの解析においては,3種の細胞株すべてで有意なTFの発現の減少が認められた。一方でTMに関しては,1種の細胞株においてのみ有意な発現の上昇を認めた。最も強い細胞傷害性が認められた細胞株では他2種と比較して,スタチンによるTFとTMの発現の変化が大きかった。本年度の解析結果よりスタチンはin vitroにおいて細胞傷害性を示すとともに,腫瘍細胞におけるTFとTMの発現を変化させることで凝固抑制的な性質へ変化させる可能性が示された。今後はその詳細な機序を検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vitroでの解析は順調に進んでいるが,症例検体を用いた解析に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
スタチンによる組織因子 (TF) とトロンボモジュリン (TM) の発現調節作用の詳細な機序の解明を行う。 また組織因子の活性の測定系はすでに確立しているが,トロンボモジュリンの活性測定系は未だイヌでの報告がないため確立する必要性がある。これまで採材してきた症例の血漿検体におけるTFとTMの活性を解析をし,これら両因子の病態における役割や活性測定の意義を検証する。
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Causes of Carryover |
キャンペーン等を利用することで試薬が予定より安価に購入できたため。繰越金は次年度に予定している研究に必要な試薬の購入費へあてる予定である。
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