2023 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of the role of serotonin in kidney fibrosis and renal tubule repair
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21K14993
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
三河 翔馬 岡山理科大学, 獣医学部, 助教 (20845664)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | セロトニン / 腎線維化 / 血小板 / セロトニン受容体 / 水腎症 / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、セロトニン(5-HT)が腎臓において炎症細胞や腎間質細胞に働き、炎症や線維化を調節し、腎線維化さらには尿細管修復に関与しているのではないかという仮説の基、CKDの新たな治療法開発の可能性へとつながる研究として進めている。 昨年までの結果として、腎線維化モデルである片側尿管結紮モデル(UUOデモル)では、Sham群に比較して血中5-HT濃度が上昇する傾向があった。また血小板から5-HT放出が生じないFH/Hamラットでは、Wistarラットに比較して、UUOモデル作製1週間後の炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子α(TNF-α)のmRNA発現が少なかった一方で、線維化の指標であるトランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)やコラーゲン(COL1A1)のmRNA発現に、FH/HamラットとWistarラットで差は認められなかった。 これらの結果より、5-HTのターゲットが炎症細胞である可能性を考え、今年度は腎臓のマクロファージに発現している5-HT受容体について解析を行った。Wistarラットの腎臓をコラゲナーゼ処理し、抗CD45抗体で標識し、FACSを用いてCD45陽性細胞を分取した。分取した細胞からmRNAを抽出し、各5-HT受容体サブタイプのプライマーを用い、5-HT受容体発現を解析したところ、5-HT1A受容体および5-HT1F受容体の発現が認められた。このことから、5-HTが腎臓のマクロファージに発現する5-HT1A受容体および5-HT1F受容体を介してTNF-αの産生に関与し、炎症の調節に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FH/Hamラットのコマーシャルラボでの生産が終了してしまい、現在自家繁殖にて供給を行っているが、順調に繁殖が行えている。 FACSを用いた解析も進み、14種類の5-HT受容体サブタイプについても評価が行えている。 片側尿管結紮後再疎通モデル(R-UUOモデル)の再疎通が安定して再現できていないため、まだ結果が得られていないが、今年度はこのモデルで解析を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、マクロファージに発現する5-HT受容体が炎症調整に関与している可能性を明らかにしている。一方で、UUOモデルでは5-HTの有無が、線維化マーカーの発現に関与しなかったが、これはUUOモデルが不可逆的な急性モデルのためとも考えられる。緩徐に進行するようなモデルであれば、炎症を介した線維化シグナルに5-HTが関与する可能性が考えられる。可逆的なモデルとして、片側尿管結紮後再疎通モデル(R-UUOモデル)での比較検討も並行して進めて行く。
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Causes of Carryover |
追加実験のため、ラットを継続して飼養する必要が生じたため。次年度に実験を行い、研究成果を報告する。
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