2021 Fiscal Year Research-status Report
高病原性鳥インフルエンザの侵入予測モデル構築とサーベイランスの向上に関する研究
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21K14995
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
浅倉 真吾 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 農業研究本部 畜産試験場, 研究職員 (20835805)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 鳥インフルエンザ / 野鳥 / 疫学 / 生態ニッチモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
国内では高病原性鳥インフルエンザの早期発見を目的とした全国野鳥鳥インフルエンザサーベイランスが行われているが、サンプリング手法は疫学的根拠に基づいたものでなく全国網羅的に実施されている。本研究の目的は、生態学分野で用いられる生態ニッチモデリングの手法を用いて高病原性鳥インフルエンザ侵入予測モデルを構築し、ウイルス侵入のリスクが高い地域を予測することで、効率的な防疫対策およびサーベイランス体制の構築に資することである。加えて、これまでのサーベイランスで収集された検体の遺伝子解析について追加解析を行う余地があり、それを実施することで従来陰性と判定されていた検体から高病原性ウイルス遺伝子を検出できる可能性がある。 初年度は全国サーベイランスで2013年度から2020年度に収集された野鳥糞便サンプルのうち、ウイルスM遺伝子を検出するLAMP法検査陽性ながら、発育鶏卵を用いたウイルス分離は陰性であった272検体について、高病原性ウイルス遺伝子の検出を目的としたHA遺伝子解析を実施した。高感度で実施するためH5およびH7亜型特異的プライマーを用いて解析した結果、高病原性ウイルス遺伝子は検出されなかったが、低病原性のH5およびH7遺伝子がそれぞれ25、5検体から検出された。PCRおよびシークエンスによる鳥類種判別については、上述の通り高病原ウイルス遺伝子が検出されなかったが、低病原性H5およびH7亜型のウイルス分離検体およびウイルス遺伝子検出検体に対して実施した。 モデリングに用いるデータベースの構築では、発生地点・日時、土地利用、標高、都市地域、水域、降水量、気温、渡り鳥分布のデータ収集を行った。解析のためのフォーマット整理は現在進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データは概ね入手済み、野鳥糞便検体の解析は2013年度から2020年度分まですべて実施済みであり、計画通り進行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな発生データおよび検体の遺伝子解析結果を順次解析データに追加し、データベースの充実を図る。データのフォーマットを整えデータベースを構築し、試作モデルを作成して予測精度を検証する。必要に応じて追加で必要なデータの検討等を行い、モデルを改良する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、出張を控えたため旅費が執行できなかった。今後は状況を鑑みて適切に予算執行を行う。
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