2021 Fiscal Year Annual Research Report
ハダカデバネズミ種特異的高発現遺伝子への老化・がん抑制機能スクリーニングと解析
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21K14998
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大豆生田 夏子 熊本大学, 大学院先導機構, 特定事業研究員 (00900094)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハダカデバネズミ / 老化耐性 / がん耐性 / 健康寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会の日本において、老化やがんをはじめとする加齢性疾患を抑制し、健康寿命を延長する方法の開発が望まれている。申請者は、最長寿齧歯類のハダカデバネズミ(デバ, Heterocephalus glaber)に着目し、その老化・発がん抑制機構を他種において模倣することで、健康長寿の実現につなげようと考えた。本研究では、デバの老化・発がん耐性に寄与する遺伝子を明らかにするため、哺乳類5種間の多臓器トランスクリプトーム比較から抽出したデバ特異的高発現遺伝子群(DEBA-associated transcripts, DEBAT)の機能解析を行った。DEBAT は既知の老化関連経路遺伝子が濃縮され、デバの顕著な老化耐性に寄与する可能性が高い一方で、機能未知遺伝子を多く含む。そこで、本研究はDEBATの個体レベルでの機能スクリーニングを行うため、DEBAT高発現ショウジョウバエを作製し、老化耐性・DNA傷害耐性・発がん耐性に寄与する遺伝子を同定する。飼育・評価が容易かつ短期間で行えるショウジョウバエをスクリーニング評価に使うことにより、このような機能未知の遺伝子に対しても、ノンバイアスに効率よく個体レベルのスクリーニングを行うことができる。すなわち、本研究により、種を超えて老化耐性・発がん耐性に寄与する、学術的インパクトの大きい新規分子メカニズムを見出すことが期待できる。 本研究においては、ショウジョウバエによるDEBATの機能スクリーニングを完成させた。このスクリーニングを用いて老化・発がん耐性遺伝子を同定し、該当DEBATのヒトオルソログをウイルスベクターや薬剤でヒト細胞において活性化させる方法の検討など、ヒトにおける革新的な老化・発がん抑制法の開発につながる可能性があり、医療費介護費の削減など、将来の経済的なインパクトは絶大なものとなる。
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