2022 Fiscal Year Research-status Report
卵子型エピゲノム形成におけるH3K36メチル化酵素ファミリーの機能解明
Project/Area Number |
21K15000
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐々木 恵亮 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10737159)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 卵 / エピジェネティクス / ヒストン修飾 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
H3K36メチル化酵素遺伝子の冗長性を検証するための卵特異的多重ノックダウンマウスは現在作成中である。これまではゲノム編集によって卵特異的に発現する遺伝子のイントロンに人工的に配列をデザインしたマイクロRNA様配列(amiRNA)をノックインする戦略をとっていたが、遺伝子ノックダウン効率に問題が生じる可能性が考えられた。現在はamiRNAのコピー数を増加させてより強力なサイレンシング効果を得るという意図のもと、卵特異的にamiRNAを発現可能なベクター系を構築し、これを用いたトランスジェニックマウスを作成している。 H3K36メチル化酵素遺伝子を欠失させた単一遺伝子のノックアウトマウス作出にも着手した。まずは遺伝子欠損による致死性の報告がないNsd3のノックアウトマウスを作成し、複数ラインのノックアウトマウスが樹立できた。現在は交配によりホモノックアウトを作成中である。Nsd1、Nsd2およびSetd2については卵特異的に遺伝子阻害をする必要があるため、コンディショナルノックアウトかamiRNAによる卵特異的ノックダウンのいずれかを検討している。 また、本研究ではCUT&RUNによるヒストン修飾の全ゲノムプロファイルを実施する予定であったが、CUT&RUNよりもローインプットなCUT&Tag法に切り替えた。ライブラリ調製にあたっては、常法を改変して細胞吸着磁気ビーズフリーかつ成長完了卵に適したプロトコルを確立できた。野生型マウス卵を用いてヒストンH3における36番目のリジン残基のトリメチル化(H3K36me3)およびH3K27me3修飾について、現在シークエンス解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
amiRNAによる多重ノックダウンマウスの作成についてはやや遅れがあるが、H3K36メチル化酵素遺伝子の単一ノックアウトマウスが予定よりも早く樹立できたため。また、成長完了卵を用いたCUT&Tagプロトコルの確立も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
H3K36メチル化酵素遺伝子の多重ノックダウンマウスの作成は継続し、予定通り表現型解析やCUT&Tagをはじめとしたエピジェネティック解析を進める。 樹立したNsd3ノックアウトマウスについてはホモノックアウト個体を作出し、遺伝子発現解析および表現型解析を実施する。Nsd3ノックアウト卵に異常がみられた場合は、CUT&Tag解析を実施してNsd3がH3K36メチル化修飾を付与する遺伝子領域を同定するとともに、体外培養系を利用して卵形成を遡って異常の可視化および異常が起きるタイミングを特定する。また、必要に応じてNsd1、Nsd3およびSetd2 floxマウスの導入も検討する。 最終的には多重ノックダウンマウスと単独ノックアウトマウスの卵を比較解析し、H3K36メチル化酵素遺伝子の冗長性を検証し、この冗長性がマウス卵形成にどのような影響を与えるのかを明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
CUT&Tagによる次世代シークエンス解析の外注が2022年度内に間に合わなかったため次年度に繰り越した。この分は予定通り次世代シークエンス解析に使用する。
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Research Products
(2 results)