2023 Fiscal Year Research-status Report
第一減数分裂前期のR-loop形成制御に見る転写制御機構の雌雄差の解明
Project/Area Number |
21K15005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 靖浩 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (50793064)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | SETX |
Outline of Annual Research Achievements |
独自のFACSセルソーティング技術を用いて高純度で分画した精母細胞におけるR-loopおよびSETXのゲノム局在を、CUT&Tag法により解析し、精母細胞で高発現する遺伝子群のプロモーター領域にSETXおよびR-loopが局在することを明らかとした。さらに、Setx欠損精母細胞では、SETXおよびR-loopが多く局在するゲノム領域にDNAダメージが蓄積していることが明らかとなった。これは、SETXを欠損することによりR-loopが解消されず異常に蓄積してしまったからだと思われる。そこで、独自のFACSセルソーティング技術を用いてSetx欠損精母細胞を高濃度に分画し、CUT&Tag法を計画したが、幼若齢のマウスを3匹程度使用したが十分な細胞数を得ることすることができなかった。そこで、成体のSetx欠損マウス複数匹を用いて精母細胞の分画を試みたが、CUT&Tagに必要な細胞数を得ることに成功し、現在CUT&Tag解析を進めているところである。
本年度はSetx突然変異マウスを用いた解析と並行して本研究に関連する論文執筆に尽力した。まず、Setx突然変異マウスであるspcar3マウスの表現型解析の原著論文を、研究代表者を筆頭著者として Reproduction誌に発表した。本論文では、雄マウスの精子形成における詳細な表現型に加え、雌マウスの繁殖能力に関してのデータを公表した。また、本研究で予定している卵母細胞の分画技術開発の基盤となる、独自のFACSセルソーティング技術をメソッド論文としてCytology PartA誌に原著論文として研究代表者を筆頭著者として発表した。さらに、精母細胞におけるR-loop局在とSETXの精母細胞における転写制御機構に関する論文を、研究代表者を筆頭著者として原著論文の執筆を進めており本年度中の発表を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は論文執筆に多くの時間を必要としたため、実験に十分な時間を割くことが出来なかったことが、研究の進行にやや遅延が生じている理由である。しかし、上記の通りトランスクリプトームやエピゲノム解析からも興味深い結果が得られており、今後の進展が期待できる状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
精巣特異的Setxバリアントの得意的な突然変異マウス、ヘリカーゼ活性欠損マウス、SETXタグ標識KIマウスなどの作成を進める。新たなモデルマウス作成に必要なマイクロインジェクション実験に必要な機材を現在手配しており、納品され次第新たなモデルマウス作成に取り掛かる。さらに、卵母細胞得意的に分画する技術開発にも取り組む、具体的には本年度発表した独自のFACSセルソーティング技術に用いたダブルTGマウスをさらに発展させ、精母細胞得意的に蛍光標識s他H4を発現するモデルマウスの作成にも着手する。また、上記のSETXのエピゲノム解析に関する原著論文執筆も進めている。
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Causes of Carryover |
本件度は3報の論文を同時に執筆したため、実験に充てる時間を十分に得ることができなかった。そのため当初の計画した金額に到達することがなかった。
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