2021 Fiscal Year Research-status Report
妊孕性にかかわる新規卵巣内因子の同定とその機能解析
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21K15009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
江森 千紘 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (10868136)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 卵巣 / 卵母細胞 / 雌性不妊 |
Outline of Annual Research Achievements |
女性の不妊の原因はホルモンバランスの異常、卵管や子宮の環境異常や、卵母細胞自身の質の低下など多岐にわたる。本研究は妊孕性に作用する上記の要因の中でも卵母細胞自身の質や卵巣環境に着目し、メスの妊孕性にかかわる新規因子の同定とその制御機構の解明を目的としている。 研究代表者が保有する排卵前後の卵母細胞を用いたRNA-seqデータから、卵母細胞に発現し、これまでKOマウスの報告がない遺伝子を選定し、CRISPR/Cas9システムを用いてKOマウスを作製した。作製したKOメスマウスに対して、野生型オスマウスとの交配試験を行い、産子数を指標に妊孕性を評価した。これまで、6遺伝子の遺伝子欠損マウスを作製し、4遺伝子の欠損マウスでメスの妊孕性が確認され、1遺伝子の欠損マウスが不妊である可能性が確認された。残り1遺伝子については現在解析中である。妊孕性が確認されたKOマウスについては、体外受精や卵巣切片による形態観察により、異常がないことを確認済みまたは確認中である。これらの遺伝子はこれまでKOマウス作製の報告がなく、本研究で初めて妊孕性が確認された。 今後は不妊の可能性が確認された1遺伝子について、産子が得られなかった原因について体外受精や卵巣形態観察などさまざまな手法を用い、より詳細なメカニズムの解析を行う。これにより、メスの妊孕性に影響を及ぼす新たな因子の解明につながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回作製した遺伝子改変マウスの多くは妊孕性が確認されたが、1遺伝子の欠損マウスが不妊である可能性が確認された。本研究の目的はメスの妊孕性にかかわる新規因子の同定であり、今後の機能解析により更なる知見が得られると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子欠損マウス作製によりメスの不妊が確認された遺伝子について、より詳細なメカニズムの解析を行う。まず体外受精により遺伝子欠損卵が受精可能か、受精する場合は発生停止が起こるか調べる。卵巣発達過程で異常がないか、卵巣切片の観察を行う。上記の解析後、より詳細な解析方法を決定する。また、トランスジェニックマウスの作製により不妊の表現型が回復するか解析できれば本遺伝子の存在がメスの妊孕性に重要であるか解析する事が可能である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大の影響等で学会への参加ができず、旅費への使用が無かった。今年度は学会への参加および論文投稿のために使用する予定である。
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