2021 Fiscal Year Research-status Report
パイオニア転写因子FoxA1による標的ヌクレオソーム認識機構の解明
Project/Area Number |
21K15014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 大貴 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任研究員 (90880104)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | クロマチン / ヌクレオソーム / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
クロマチンの基本単位であるヌクレオソーム構造は、一般的に転写因子の標的塩基配列への結合を抑制する。しかし、パイオニア転写因子と呼ばれる特殊な転写因子群は、ヌクレオソーム中の標的塩基配列に結合することができ、局所的なクロマチン構造変換をともなって、他のクロマチン結合因子の結合を促進することで標的遺伝子の転写を調節する。本研究では、肝細胞への分化において重要なパイオニア転写因子であるFoxA1に着目し、再構成ヌクレオソームを用いた生化学的・構造生物学的解析を行うことで、FoxA1による標的ヌクレオソーム認識機構を明らかにすることを目的としている。2021年度は、FoxA1-ヌクレオソーム複合体の構造解析を中心に取り組んだ。具体的にはまず、リコンビナントタンパク質として精製したFoxA1と試験管内再構成したヌクレオソームを用いて、FoxA1-ヌクレオソーム複合体を調製する条件を検討し、系を確立した。クライオ電子顕微鏡観察を行うために、調製した複合体の凍結試料の作製条件を検討し、観察を行った。その結果、FoxA-ヌクレオソーム複合体と考えられる粒子が観察された。そこで単粒子解析を行うためのデータセットを取得した。今後は取得したデータセットを用いて単粒子解析を行い、FoxA-ヌクレオソーム複合体の立体構造の決定を目指す。また、決定した立体構造に基づいて生化学的解析を行うことで、FoxA1による標的ヌクレオソーム認識機構の詳細を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度はFoxA1-ヌクレオソーム複合体の構造解析を推進した。そのためにFoxA1-ヌクレオソーム複合体の精製系を確立した。精製したFoxA1-ヌクレオソーム複合体を用いて凍結試料を作製し、クライオ電子顕微鏡で観察を行い、単粒子解析に向けたデータセットを取得することに成功した。以上の結果を踏まえて、本課題はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
取得したデータセットを解析することで、FoxA1-ヌクレオソーム複合体の立体構造の決定を目指す。必要であれば異なる条件でデータを再取得し、構造解析を行う。また、生化学解析を進めることで、FoxA1による標的ヌクレオソーム認識機構の詳細を明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍における物品の納品遅延のため。納品遅延が解消し次第、予定通り使用する。
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