2021 Fiscal Year Research-status Report
リボソームストークをハブとする翻訳関連因子プールの機能動態解明
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21K15015
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
今井 大達 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 特命助教 (00866668)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 翻訳 / リボソーム / リボソームストーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではヒト培養細胞をモデル生物とし、リボソームと翻訳因子の結合・解離サイクルを駆動するリボソームストークの機能を「翻訳関連因子を集合させた反応場の形成」という観点から研究する。そのためにリボソームストークをハブとして形成される翻訳関連因子プールについて、その構成要素と、各因子とストークの結合・解離動態を明らかにする。2021年度は、(a) ビオチンリガーゼ融合型P0安定発現株の作製と、(b) ビオチン標識タンパク質の精製条件の検討を行った。
(a) 近位依存性ビオチン標識法を行うため、HEK293細胞を親細胞とし、リボソームタンパク質P0のC末端領域にビオチンリガーゼ (BL) を融合したP0-BLの安定発現細胞を樹立した。ドキシサイクリン依存的にP0-BLの発現が誘導されリボソームに取り込まれること、またP0-BL発現下で培地にビオチンを添加することで培養細胞中のタンパク質がビオチン標識されることを確認した。P0に融合するBLとして、指向性進化法により開発されたTurboIDとultraID (uID) の2種類の酵素を比較・検討し、ビオチン標識活性が高く、非特異的標識活性がより抑えられたuIDを以降の解析で使用することとした。
(b) P0-uIDによりビオチン標識されたタンパク質を濃縮・精製する条件検討を行った。1% SDSで細胞抽出液を可溶化後、ストレプトアビジンビーズを用いてビオチン標識タンパク質を回収した。ウエスタンブロットにより、P0-uIDおよび培地中のビオチンに依存して、ビオチン標識タンパク質を濃縮できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近位依存性ビオチン標識法による解析を行うため、本年度の終わりまでに、ビオチンリガーゼ融合P0発現細胞を樹立し細胞内のタンパク質のビオチン標識系を確立すること、またビオチン標識タンパク質を濃縮・精製できる条件を確立することを目標としていた。それらが達成されたため、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
P0-uIDによりビオチン標識されたタンパク質を濃縮・トリプシン処理後、ペプチドを回収し液体クロマトグラフィー質量分析 (LC-MS/MS) による解析を行うことで、リボソームストーク近傍に存在するタンパク質を網羅的に同定する。空間コントロールとしてMBP-uIDを発現する細胞株も樹立し、同様に質量分析による解析を行う。
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Causes of Carryover |
当初の計画で購入予定であった試薬・実験機器などに関して、異動に伴い購入の必要がなくなったため。また新型コロナウイルスの影響による研究会のオンサイト移行のため、旅費の支出が予定よりも減少したため。これらの予算は、近位依存性ビオチン標識法の質量分析費用として利用する。
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