2021 Fiscal Year Research-status Report
DNA損傷修復ドメイン形成における核骨格タンパク質の役割
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21K15017
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
衣笠 泰葉 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (60852118)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | クロマチン / ラミン / 核構造 / DNA損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
核内に局在する様々なタンパク質の中でも、ラミンなどの核骨格タンパク質と呼ばれるタンパク質群が存在する。これらは核の物理的な核構造の維持に加えて、様々なタンパク質や染色体領域との相互作用を通じてダイナミックな機能制御を行う役割も担っている。核膜直下の恒常的なヘテロクロマチン構造形成など、ある程度機能が解明されつつある一方で、環境の変化などに対応した動的な制御機構、特に核膜直下に限らない核全体に及ぼす影響については未知の部分が多い。本研究では、DNA二本鎖切断(DSB)によって形成されるDNA修復ドメインの形成過程における核骨格タンパク質の役割に着目している。 以前の研究にて、ラミンB1がDSBの相同組換え修復に重要なリコンビナーゼRad51と結合し、Rad51の安定性、及びRad51フォーカスの形成に寄与していることを見出していたため、本年度はラミンB1とRad51の結合メカニズムについて生化学的解析とイメージングを用いた細胞生物学的解析の二方向から解析を行った。ラミンB1とRad51の結合は、DNA損傷を引き起こしていない正常細胞でも確認されたが、この結合は非常に弱く、核膜直下にみられるような堅牢な構造ではなく、動的な構造体を形成していることが示唆された。また、予想に反してDNA損傷下においてもその結合力は変わらなかったため、DNA修復ドメインの維持機構は間接的な作用であるか、あるいはDNA修復ドメイン自体が非常に動的な構造体であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたラミンB1とRad51の結合の性質については解析が進んだが、弱い結合のため解析が難しく、その先の解析がやや難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は予定通りのラミンB1とRad51の結合メカニズムの解析を進めるとともに、Rad51フォーカス形成機構をラミン以外にも視点を広げた解析を行う。さらに、放射線以外にも細胞やDNAにダメージを及ぼすファクターについて、ラミンによる核構造や核内ドメインの制御メカニズムを解析する。
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Causes of Carryover |
研究の進行上いくつかの解析が次年度の予定に変わったためと、コロナ禍によって研究打ち合わせと研究成果発表を次年度に持ち越しとしたため、これらの費用にあてる。
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Research Products
(2 results)