2021 Fiscal Year Research-status Report
Leading edgeのGTP代謝コンパートメントによる新規細胞遊走制御の解明
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21K15019
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
鎌田 諒 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 特任研究員 (60801420)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | GTP / IMPDH / RAC |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍細胞は、低栄養および低酸素のストレス条件下であるにも関わらず、異常な細胞遊走の誘発が継続的に行われている。しかしながら、腫瘍細胞はストレス条件下で、どのようにして継続的な細胞遊走をONにしているのか謎が多い。申請者らは、独自のGTP研究から GTP代謝の細胞内局在変化により細胞遊走を制御する新たな細胞内エネルギーシステムの存在を掴むに至った。細胞遊走は低分子量Gタンパク質(small-GTPase)の活性型、不活性型のサイクルによって制御されている。これまで悪性脳腫瘍(グリオブラストーマ)形成・増殖における細胞内エネルギー物質“GTP(グアノシン三リン酸)”の役割と、GTP代謝の制御が治療標的になり得ることが明らかになっている(Nat Cell Biol 2019, Mol Cell 2016, Cancers 2019, Journal of Biochemistry 2020など)。また本研究では細胞内GTPの生合成に関与するIMPDH2の減少により、small-GTPase Racの活性抑制を介し、細胞遊走が制限されることを見出している。そこで悪性度の高い転移性腎臓がんの持続的な細胞遊走におけるGTP代謝とsmall-GTPase Racの活性制御に着目し、その分子メカニズムの解明を行う。新たな概念として腫瘍転移におけるGTP代謝の役割を明らかにし、がん治療戦略開発の新たな可能性を拓くことが期待出来る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究におけるIMPDHの細胞内局在、GTP生合成、RACの活性の解析に必要な細胞や設備等も備えており、来年度に計画しているGTPの空間的情報の検出も順調に進んでいることから、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、GTP代謝の細胞内局在変化による細胞遊走制御機構の解明を行う。 GTP代謝の細胞内局在を変化させるために薬剤誘導型(Tet-onシステム)の局在変化シグナルを付加したIMPDHウイルスベクターを作製した。腎臓がん細胞株に導入した後、IMPDHの局在を操作することで細胞遊走の変化を確認する。
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Research Products
(8 results)