2021 Fiscal Year Research-status Report
汎用的な構造解析ツールの開発を目指した抗bRILサメVNAR抗体の取得とその検証
Project/Area Number |
21K15030
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
中北 智哉 明治大学, 農学部, 助教 (40852786)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サメ免疫 / VNAR / bRIL / 構造解析用ツール |
Outline of Annual Research Achievements |
サメ抗体IgNARの可変領域はシングルドメインからなるVNARと呼ばれ、リコンビナント体の作製が容易である。また可塑性にも優れ、安定性が高い特徴も有する。更には、シングルドメイン抗体という特徴から、抗原に対して刺さるようなエピトープを示すことが知られている。このようにヒトやマウス型のIgGの可変領域Fab、Fvに比べハンドリングの良さや異なるエピトープを有する点にメリットがある。本研究では膜タンパク質構造の安定化への寄与が大きいことが知られるアポシトクロムb562RIL (bRIL)を抗原として、bRILを認識する構造解析ツールとなるようなVNARを作製することを目指している。 現状について報告する。大腸菌により作製したbRILを精製、単離し、エイラクブカと呼ばれるサメにおよそ3ヶ月間免疫を実施したところでbRILに対する抗体価の状況が確認できたため、ファージディスプレイ法によって目的VNARを取得することを試みた。しかしながら、複数回のトライアルを実施したものの、目的の抗体を取得するに至らなかった。そこで、今度はbRILをコムギ無細胞系により合成し同じく精製、単離したものについてサメ免疫を実施した。同様に3ヶ月程度で抗体価の上昇が認められたことから、現在再びファージディスプレイ法による単離を試みているところである。 今後は早急にanti-bRIL VNARの取得を試み、2年目に実施予定のGPCRの構造解析を京都大学分子細胞情報学の林助教と共に試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
bRILを免疫したサメの脾臓からファージディスプレイ法によって目的VNARを取得することを試みた。しかしながら、複数回のトライアルを実施したものの、目的の抗体を取得するに至らなかった。同時並行している他のターゲットについては取得に成功したものもあるため、手法に問題があるとは考えにくい。 そこで、今度はbRILをコムギ無細胞系により合成し、同じく精製、単離したものについてサメ免疫を実施した。同様に3ヶ月程度で抗体価の上昇が認められたことから、現在再びファージディスプレイ法による単離を試みているところである。 このように1サイクルの実験に時間がかかるものをやり直すことにしたため、数ヶ月の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、合成ホストを変更して再度トライを実施中である。ファージディスプレイ法でELISAを実施する際にも大腸菌由来、コムギ由来でどの程度ELISAパターンが異なるのかを確認する。このように複数の宿主で合成されたbRILをクロスさせることで、不純物を除く狙いがある。 また、京都大学分子細胞情報学、林助教の方でも構造未決定なGPCRである苦味受容体の精製を進めていただいている。このように構造未知な受容体を新規の手法で構造解析することを目指す。バックアップとして、分子細胞情報学の研究室にて構造取得に成功している受容体についてもanti-bRIL VNAR構造付きで取得する予定である。
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Causes of Carryover |
多少の余りが生じたが、概ね予算通りに使用したと考えている。大きな額ではないので、消耗品の購入費に充てる。
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