2021 Fiscal Year Research-status Report
減数分裂期の染色体軸形成を担うコヒーシンとHORMAD1の構造機能解析
Project/Area Number |
21K15032
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
菊池 壮太郎 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90866386)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | X線結晶構造解析 / 減数分裂 / 染色体分配 / 構造生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、減数分裂時における染色体の軸形成に関わるHORMAD1を中心とした構造生物学的研究である。染色体の均等分配の異常は遺伝性疾患や不妊、がんなどを引き起こす。HORMAD1は染色体分配に関わるコヒーシン複合体との相互作用が報告されているが、その詳しい構造基盤は得られていない。本研究ではHORMAD1の立体構造をX線結晶構造解析を用いて明らかにするとともに、コヒーシンとの相互作用を生化学的、細胞生物学的に解析し、HORMAD1の減数分裂におけるメカニズムを明らかにすることを目的としている。本年度はHORMAD1とコヒーシンの相互作用を大腸菌発現系を用いて高純度なヒトHORMAD1の調製を行いX線解析に充分な収量を得ることができたが、現在までに結晶は得られていない。ゲル濾過カラムを用いた精製の過程でHORMAD1が複数のコンフォーメーションを有することが示唆されており、結晶化に影響を与えていることが考えられる。結晶化には単一のコンフォーメーションの組換えタンパク質の調製が望ましいため、多量体化に必要な領域の探索及び発現系の再構築と精製条件の検討が必要である。HORMAD1との相互作用解析に用いるコヒーシン複合体の精製には発現システムを含め更なる検討が必要であり、今後タンパク質全長だけでなく部分領域の発現系を構築し精製を進めていく。HORMAD1についてはN末端領域とC末端領域を削った様々な発現系を作成し、高純度な組換え体の調製に成功しており、今後結晶化への期待が高まる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全長を含めた高純度なHORMAD1の調製は完了しているが、X 線解析に用いることのできる結晶が得られていない。HORMAD1の精製の過程でHORMAD1が単量体だけでなく複数のコンフォーメーションが存在していることが示唆される結果が得られており、均一な状態でのHORMAD1の精製条件の検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶化に適したHORMAD1の調製のために様々な領域のHORMAD1の調製を行い、多量体化に重要な領域を同定し、それを元にHORMAD1の発現系を再検討する。また、コヒーシンのに関しては全長に限らずドメインごとに発現系を構築し、結晶化と生化学的解析に十分な純度と収量が得られるように精製条件を検討し、HORMAD1との相互作用解析と複合体の結晶構造解析を目指す。
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Causes of Carryover |
試料調製や結晶化に用いる試薬などの消耗品に使用する。X線実験を行うため、つくば高エネルギー加速器研究機構放射光実験施設や西播磨大型放射光施設 (SPring-8) のビームラインの利用を予定しており、そのための旅費と使用料にも研究費を使用する。成果を国内外の学会で発表するための旅費、投稿論文としてまとめるための英文校閲、論文投稿料としても使用する。
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