2022 Fiscal Year Annual Research Report
電位依存性K+チャネルの立体構造解析によるゲート開閉メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K15033
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
原田 彩佳 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 助教 (00800476)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 電位依存性K+チャネル / 膜電位依存的構造変化 / SS-locking |
Outline of Annual Research Achievements |
電位依存性K+チャネル(Kv)は、神経伝達や心臓の拍動の源となる活動電位の調節を担う。Kvは、膜電位を感受する電位センサードメイン(VSD)とK+透過路を形成するポアドメイン(PD)からなり、VSDの膜電位依存的な構造変化によって、PDのゲートを開閉する。これまでに、膜電位非存在下の開状態のKvの立体構造は報告されているが、膜電位存在下での解析手法がないため閉状態の構造は不明であり、Kvの膜電位依存的な開閉機構は未解明である。そこで本研究では、VSDのヘリックスS1とS4にCys残基を1個ずつ導入し、これらが近接した際に形成する分子内ジスルフィド(SS)結合を検出するSS-locking解析を行うことでVSDの構造変化に伴い近接する残基対を同定し、それらの機能・構造解析を行うことでKvの膜電位依存的な構造変化機構を解明することを目的とした。 古細菌Aeropyrum pernix由来のKvであるKvAPを解析対象とし、全長KvAPの立体構造(PDB ID: 6UWM)に基づき、S1は開状態の立体構造においてS4と近接するIle130を中心とした連続する5残基のいずれかを、S4は側鎖をS1側に向けた5残基のいずれかをCys残基に置換した、25種類のdouble Cys変異体を調製した。SS-locking解析の結果得られた近接残基対は、単一の立体構造では同時に近接しえないことから、各変異体において異なるコンフォメーションがSS結合により安定化されたことを示しており、各変異体の構造はKvAPの閉状態と開状態の間の構造変化の過程を反映している可能性があることが分かった。
|