• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2021 Fiscal Year Research-status Report

酸化ストレス下における細胞死形態決定機構の解明

Research Project

Project/Area Number 21K15037
Research InstitutionUniversity of Miyazaki

Principal Investigator

西田 卓人  宮崎大学, 医学部, 特任助教 (20896146)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords酸化ストレス / 細胞死 / アポトーシス / ネクローシス / パータナトス
Outline of Annual Research Achievements

これまでに培養細胞であるHeLa細胞に過酸化水素を用いて酸化ストレスを与えると、その強度によって異なる細胞死が誘導されることが報告されている。弱い酸化ストレスを負荷するとアポトーシスが誘導されるのに対し強い酸化ストレスではネクローシスが誘導される。更なる解析の結果酸化ストレス強度に依存した細胞死の形態変化に関して、細胞内のNAD+濃度が細胞死の形態を決定するのに重要な因子であることも見出していた。具体的には弱い酸化ストレス時においても強い酸化ストレス時においても、刺激直後は細胞内NAD+濃度がPARP1の活性化依存的に同程度減弱するが、弱い酸化ストレス時においてのみ細胞内NAD+濃度の回復が見られる。また、この回復はNAMPTに依存したNAD+サルベージ経路により担われており、NAMPTの阻害剤やNAD+消費酵素であるPARP1の阻害により細胞内NAD+濃度を操作すると細胞死の形態を制御できることを見出していた。
2021年度は樹立したFlag-hNAMPT恒常発現HeLa細胞を用いて、細胞内NAMPT活性の測定を行った。その結果、酸化ストレス強度依存的なNAMPT活性の変化は見られなかった。一方で、主要なNAD+消費酵素であるPARP1の活性に関しても刺激強度による違いは確認できず、またNAD+サルベージ経路においてNAMPTによる反応を経ずに細胞内NAD+量を増加させることができるNRの処置により、強い酸化ストレス時においても細胞内NAD+濃度の回復とアポトーシスへの細胞死形態の変化が確認できた。このことから、NAMPTの活性自体には酸化ストレスによる影響はない可能性が考えられるが、NAMPTにより触媒されるNAMからNMNへの変換が強い酸化ストレスでは阻害ざれている可能性が示唆された。具体的にはNAMPTの基質であるPRPPの濃度などが考えられる。また2021年度はこれまでに得られていたデータをまとめて、英語論文を執筆し受理された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

現在までに細胞内NAMPT活性を直接モニターする系を導入し、細胞内NAMPT活性のダイナミクスを測定した。この測定の結果、細胞内NAMPT活性は酸化ストレスを加えても大きく変化しないことが示唆された。その一方で、NAD+消費酵素であるPARP1の活性にも刺激強度依存的な違いは見られず、またNAMPTによる反応を経ずに細胞内NAD+量を増加させることができるNRの処置により、強い酸化ストレス時においても細胞内NAD+濃度の回復とアポトーシスへの細胞死形態の変化が確認できた。以上のことから強い酸化ストレスが細胞に付加された際には、NAMPTの活性自体には影響がないものの、NAMPTにより触媒されるNAMからNMNへの変換に支障をきたしていることが示唆された。
また、アポトーシスの内因性経路において重要なカスパーゼ9切断の時間推移を確認したところ、細胞内NAD+及びATPの回復が確認できる低濃度H2O2刺激6時間後あたりから切断が開始されていることを見出した。このことから、細胞内におけるNAD+量回復がATP量回復へと繋がり、結果としてカスパーゼ9の切断が導かれていることが示唆された。
以上のように、酸化ストレス強度依存的な細胞死形態の決定メカニズムに関して重要な知見を得ることができた。これらの結果を英語論文にまとめて発表を行った。したがって、2021年度において取り組む課題に関しては概ね順調に遂行できたと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

今後は、小胞体とミトコンドリアでのシグナル伝達に関して解析する。これまでにアポトーシスの誘導においては、小胞体からミトコンドリアへのカルシウムの輸送が重要な役割を果たしていること、及びミトコンドリアへのカルシウム輸送はミトコンドリアでのATP産生を増強することが知られている。近年、ミトコンドリアと小胞体は物理的に近接しており、それぞれシグナルのやりとりを行なっていることが知られている。ミトコンドリアは細胞内ATPを産生する主要なオルガネラであると同時に、アポトーシス誘導においてシトクロムcの放出源となることで重要な役割を果たすことが分かっている。このようにミトコンドリアと小胞体、アポトーシスの関連について、細胞死形態の解析という観点から解析を行っていく予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] NAMPT-dependent NAD+ salvage is crucial for the decision between apoptotic and necrotic cell death under oxidative stress.2022

    • Author(s)
      Takuto Nishida, Isao Naguro and Hidenori Ichijo
    • Journal Title

      Cell Death Discovery

      Volume: 8 Pages: -

    • DOI

      10.1038/s41420-022-01007-3

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2022-12-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi