2021 Fiscal Year Research-status Report
生殖顆粒形成と局在におけるRNAヘリカーゼVasaのアルギニンメチル化の機能解析
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21K15039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 啓也 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60888105)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生殖顆粒 / 液液相分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は生殖顆粒形成に関わるDEAD-box型RNAヘリカーゼタンパク質であるVasaのN末端領域に焦点を当て、生殖顆粒形成機構の詳細を明らかにしよとするものである。VasaのN末端領域は天然変性領域であると予測され、ジメチル化モチーフ内にアルギニン残基を複数持つがその役割は明らかでない。 本年度は、カイコ卵巣由来の培養生殖細胞であるBmN4細胞を用いて、生殖顆粒形成におけるVasaのN末端領域のメチル化の影響を調べた。アルギニンメチル化は細胞機能の広範にわたって影響しており、そのノックダウンは副次的な効果をもたらす恐れがある。また、生殖顆粒は液液相分離によって形成されると考えられ、液液相分離で重要な残基であるアルギニンの置換変異ではメチル化の影響のみを測ることが困難である。そこで、ジメチル化を受けたVasaのN末端領域に結合しうるタンパク質の探索を行う方向で研究を進めた。 この結果メチル化アルギニン結合ドメインであるTudorドメインを持つタンパク質の中から、Vasaによる生殖顆粒の新規形成に影響するタンパク質を見出すことができた。またVasaによる免疫沈降で当該タンパク質が検出された。 このタンパク質をノックダウンするとVasaによる新規の顆粒形成が見られなくなる。反対に過剰発現させると、顆粒形成が強く見られるようになることが分かった。また、複数種類存在するBmN4の生殖顆粒が単一種類になることが観察され、生殖顆粒の機能への影響が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の方針ではなくジメチル化を受けたVasaのN末端領域に結合しうるタンパク質を探索する方向からのアプローチとなったが、Vasaによる生殖顆粒の新規形成に影響をもたらしうるタンパク質の候補を見出すことができた。次年度は生殖顆粒の新規形成とインテグリティにおける当該タンパク質の機能的意義に迫ることができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本年度に同定したTudorドメインを持つタンパク質の解析を進める。具体的にはVasaとの結合機構やそれにおけるメチル化の影響の解析、piRNA生合成経路への影響の解析を含む。 研究計画の次項目であるFG Nupとの相互作用に着目した、VasaのN末端領域の生殖顆粒核膜周縁部局在への関与の解明についても解析を進める。
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Causes of Carryover |
本年度は海外および国内学会でのオンサイト参加を計画していたが、コロナウイルス蔓延の影響によりオンライン開催がメインとなったため次年度使用額が生じた。次第に学会でのオンサイト参加が増えてきていることから、次年度は海外および国内学会でのオンサイト参加を含め研究成果の発表に使用するとともに必要な試薬、器具の購入に充てたい。
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Research Products
(4 results)