2023 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ量子センサーによるAll-opticalな細胞内熱伝導計測
Project/Area Number |
21K15053
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
外間 進悟 京都工芸繊維大学, 分子化学系, 助教 (00757635)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ナノダイヤモンド / カーボン量子ドット / 細胞 / 温度 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である本年は、細胞内の熱伝導率をAll-opticalに計測可能な材料として、カーボン量子ドット(CQD)を開発した。CQDは金属量子ドットと異なり細胞毒性を示さない蛍光ナノ粒子として注目されている。また、蛍光強度が温度に依存して変化することから細胞内の温度センサーとして機能する。一方で、CQDの蛍光強度は細胞内の温度以外のパラメータ(pH、塩、粘性、生体分子相互作用など)にも影響を受けることが問題となり、細胞内の正確な温度を計測することができなかった。そこで本研究ではまず、CQDの発光が環境に影響を受ける原因を検証し、コアsp2ドメインの電子の量子閉じ込め効果、および、表面の官能基由来の2成分によるものであること確認し、この表面由来発光が環境の影響を受けることを突き止めた。そこで、CQDの表面をポリグリセロールで修飾することによりこの表面由来発光を低減させるため、外環境の変化に頑強なCQDを開発することに成功した。CQDは細胞培養液に添加することによって、細胞内に自発的に取り込まれ、温度計測可能な濃度範囲では細胞毒性を示さないことを確認した。また、赤外レーザー照射による温度上昇を計測することが確認され、All-opticalな熱伝導計測が可能であることを実証した。期間全体を通して、炭化ケイ素ナノ粒子およびカーボン量子ドットの細胞温度計の開発とその表面化学修飾による機能化に成功している。本成果にかかる原著論文3報、総説2報を発表した。
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