2021 Fiscal Year Research-status Report
ロドプシンの個性を生かした生命現象の革新的光操作法の開発
Project/Area Number |
21K15054
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小島 慧一 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (60819267)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光生物学 / ロドプシン / 光操作 / オプトジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多様なロドプシン分子の新奇的な性質を生かした革新的な光操作技術の開発を行う。すなわち、申請者らが解析してきた/見出したロドプシンの新奇的な性質を活用することで、動物細胞や個体における様々な生命応答を自在に光操作できる技術基盤を創成する。そのため、交付申請書に記載した実験計画に沿って、「分子特性の理解・改変と最適化」と「分子特性の動物細胞・個体への適用」を進めてきた。 「分子特性の理解・改変と最適化」に関しては、以下の(1)~(3)に成功した。(1)新規リン酸イオン輸送型ロドプシンの生化学的・分光学的解析を行い、イオン輸送モデルを提唱した。(2)深海生物由来のGPCR型ロドプシンの機能発現系を構築し、分子解析を行った。その結果、高いGq活性化能を持つ可視光吸収型分子の同定に成功した。(3)渦鞭毛藻由来のロドプシン(OmR2)の機能発現系を構築し、分光学的・生化学的・電気生理学的解析を行った。その結果、OmR2がプロトンポンプ機能を持つことを示し、そのイオン輸送機構を明らかにした。 「分子特性の動物細胞・個体への適用」に関しては、外向きプロトンポンプロドプシンであるAR3または内向きプロトンポンプロドプシンであるRmXeRを多様なヒト培養細胞(HeLa, SH-SY5Yなど)に発現させ、細胞内pHを自在に光で制御できる光操作技術を作出した。さらに、この手法を多様なヒト培養細胞および動物個体(線虫)へと適用し、細胞内のアルカリ化を介してアポトーシス(細胞死)を制御できる新規技術を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物および微生物由来の多様なロドプシン分子の機能発現系の構築に成功しており、分光学的・生化学的・電気生理学的手法を活用することで、それら分子の作動原理の理解や新たな特性を持つ分子の同定を順調に進めている。 また、細胞内pHをロドプシンによって操作することで、アポトーシスを光制御するというこれまでにない新しいタイプの光操作技術を開発することができた。 以上のように、「分子特性の理解・改変と最適化」と「分子特性の動物細胞・個体への適用」において順調に成果・業績をあげていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も継続して、「分子特性の理解・改変と最適化」と「分子特性の動物細胞・個体への適用」を進めていきたい。 「分子特性の理解・改変と最適化」に関しては、以下に取り組む:(1)深海動物由来のロドプシンの作動原理の理解と改変を進めることで、既知分子よりも高いGタンパク質活性化能を持つ分子の同定・作出を目指す。(2)深海動物由来のロドプシンや申請者がこれまでに同定してきた高感度GPCR型ロドプシンに対して、Gタンパク質との相互作用部位にアミノ酸変異を加えることで、様々なGタンパク質(Gs,Go)を効率的に活性化する分子の作出を目指す。 「分子特性の動物細胞・個体への適用」に関しては、以下に取り組む:(1)リン酸イオン輸送型ロドプシンを大腸菌や動物細胞へと導入し、リン酸イオン濃度変化に伴う生命活動の光操作を実現する。(2)GPCR型ロドプシンを動物細胞(例:心筋細胞)へと導入し、Gタンパク質シグナリングを介した生命活動の光制御法を開発する。
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[Journal Article] Development of an Outward Proton Pumping Rhodopsin with a New Record in Thermostability by Means of Amino Acid Mutations2021
Author(s)
Yasuda S, Akiyama T, Kojima K, Ueta T, Hayashi T, Ogasawara S, Nagatoishi S, Tsumoto K, Kunishima N, Sudo Y, Kinoshita M, Murata T
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Journal Title
J Phys Chem B
Volume: 126
Pages: 1004-1015.
DOI
Peer Reviewed
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