2021 Fiscal Year Research-status Report
Functional and Structural Relationship of V-ATPase Revealed by Single-Molecule Observation
Project/Area Number |
21K15060
|
Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
大友 章裕 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 助教 (30886560)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 1分子計測 / V-ATPase / ナトリウムポンプ |
Outline of Annual Research Achievements |
V-ATPaseはATP加水分解エネルギーを回転運動へと変換し標的イオンを能動輸送する分子モータータンパク質である。本研究ではV-ATPaseの中でも特にナトリウムイオンを選択的に輸送するEhV-ATPaseを対象として、その回転ダイナミクスを明らかにすることを目指した。 分子モーターの動きを詳細に追跡可能な金属ナノ粒子と全反射型暗視野顕微鏡を組み合わせた観察系を用いて、ATP加水分解時の回転運動を可視化した。EhV-ATPaseのナトリウムイオン輸送性の特徴を生かすことで、広い基質濃度下での1分子回転観察を行うことができた。その結果、V-ATPaseでは初めてイオン輸送が律速となった条件でのステップ機構が明らかとなった。さらにATP結合・イオン輸送の両方が律速となる条件での1分子回転観察より、これら2つの反応が異なる角度で生じていることがわかった。これらの実験結果はEhV-ATPaseが"硬い"カップリングを有していることを示唆する。 さらに天然ではATP加水分解酵素として機能するEhV-ATPaseがATP合成能を有するかどうかを検証するために、光によってナトリウムイオン濃度が調節可能な新たな実験系を構築した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標であったEhV-ATPaseのATP加水分解時の回転機構について明らかにすることができた。また研究の過程で作製したEhV-ATPaseの変異体は期待通りの性質を示し、さらに詳細な回転機構に迫ることができると考えている。 次の課題であるEhV-ATPaseのATP合成能を検証するための新たなタンパク質共発現系を構築することができた。作製した系を用いた実験を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
光駆動型ナトリウムイオンポンプとEhV-ATPaseを共発現した大腸菌の反転膜小胞を用いて、光照射に伴うATP合成の評価する。さらに蛍光顕微鏡を用いたナトリウムイオン輸送能を定量する測定系を新たに構築する。これらを組み合わせ、EhV-ATPaseにおけるイオン-ATP比を明らかにし、タンパク質構造との相関を明らかにする。
|
Research Products
(5 results)