2022 Fiscal Year Research-status Report
深層学習による人工エピゲノム操作因子におけるゲノム干渉効果の評価及び予測
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21K15072
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
LIN JASON 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ, 研究員 (80774124)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ゲノム解析 / ケミカルバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では配列特異的にDNA副溝に結合できる化合物であるピロールイミダゾールポリアミド(PIP)の複合体によるしエピゲノムの変動操作を目的とし、深層学習法によるトランスクリプトミクス情報、ヒストン修飾・CpGアイランドなどのエピゲノム情報や結合情報を用いたPIPのオフターゲット効果及び副作用の解明、 ゲノム干渉効果の同定や分析手法の構築し、最終的にPIPに特徴的な配列特異性によるピンポイントなエピゲノム干渉効果誘導の最適化を検討する。今年度は、2014年に報告したPIP-SAHAの発現プロファイリングデータに基づいて、認識 DNA配列とクロマチン情報等の既存情報を加えて、結合モチーフより理論的結合サイトを計算し、初期のPIP-SAHA結合モチーフによる発現量のCNNに基づいた予測 モデルを構想してエピゲノムへの制御を同定した。NVIDIA社のAmpere世代のGPUを用いたCUDA言語でのプロトタイプアルゴリズムを確立し、2021年度より精度が高い発現量の予測モデルを作成し、PIP-SAHAの結合によるHDACへの阻害の原因を明らかにすることを行なっている。また、PIP-SAHAがエピゲノム干渉に及ぼす影響は他のヒストン修飾とのクロストークが原因である仮説を確立し、標的遺伝子の一つである「TGM2」と呼ばれる酵素に関わる知見をハーバード大学の共同研究者との論文がCancers誌に掲載され、只今もう1報は投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、実験試薬などの納期が遅延され、年度中にあった数回の緊急事態宣言の要請で出勤頻度も減少したことで進捗がやや遅れているが、初期のモデル作成は概ね進展している。今年度に予定した国際学会は新型コロナウイルス感染症の影響で参加できなかったが、2023年度に参加する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年は発現量の予測モデルに注目したが、追加実験の部分は新規のマイクロアレイ実験よりロングリードシーケンス手法に変更する予定であり、只今Nanopore社の技術採用は評価している。相互作用に関わらず上流遺伝子及び標的遺伝子に結合しなければ発現プロファイルは変化しないと想定し、PIP-SAHAに注目し、そのPIP-ELIにおけるゲノム結合を確認検証し、優先傾向性予測結果を評価する)。発現情報に加え、他のヒストン修飾とのクロストークやCpGアイランドなどの他のエピゲノム特徴の情報を用いて引き続き副作用に及ぼすエピゲノム変動との関係をさらに明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大及びウクライナ戦争の影響で、実験試薬などの納期が遅延され、さらに国際学会が参加しなかったため次年度に延期することに変更した。
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