2022 Fiscal Year Annual Research Report
炎症抑制ユビキチンリガーゼTriad3によるユビキチン認識と作動機構の解明
Project/Area Number |
21K15084
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾勝 圭 京都大学, 理学研究科, 助教 (00739641)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ユビキチン / 炎症 / 細胞内シグナル伝達 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症や自然免疫の細胞内シグナリングにはユビキチン鎖が関与する。ユビキチン鎖は、ユビキチンのC末端と、別のユビキチンの7ヶ所のリジン残基(Lys6、Lys11、Lys27、Lys29、Lys33、Lys48、Lys63)が共有結合することで形成される(K6鎖、K11鎖、K27鎖、K29鎖、K33鎖、K48鎖、K63鎖)。また、アミノ末端とも結合することも知られている(M1鎖)。炎症シグナルではK63鎖やM1鎖形成が細胞応答を引き起こす。ユビキチン鎖を介する細胞内シグナリングを理解するためには特異的なユビキチン鎖を形成、認識、分解するメカニズムを理解する必要がある。申請者らは、前年度までに炎症抑制に関与するTriad3が、特定のユビキチン鎖を認識することを見出した。本年度は、Triad3 Cueドメインと蛍光標識したユビキチンおよび5種類のユビキチン鎖を用いて蛍光偏光法による解離定数測定を行なった。その結果、特定の2つのユビキチン鎖では一桁μMの数値を示した。この結果は前年度実施したプルダウンアッセイの結果と一致していた。部位特異的光架橋法の実施にあたり、非天然アミノ酸を導入するためのコンストラクションを行なった。ユビキチン連結酵素活性をもつドメイン構造解析は結晶が得られず難航した。そこで、クライオ電子顕微鏡(cryo-EM)解析に着手した。Triad3単体では分子量が小さく、解析が難しいので、多量体を形成する足場タンパク質を融合したコンストラクションを複数の長さで作製し、タンパク質を発現、精製した。さらに、足場タンパク質の乖離を防ぐために化学的架橋によって固定した。そのサンプルを再度ゲルろ過精製し、単一フラクションをグリッドに塗布して凍結した。複数のブロッティング条件でcryo-EM測定を試みることで、電顕画像を収集でき、タンパク質粒子の画像を得ることができた。
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