2021 Fiscal Year Research-status Report
メタボライトと神経細胞を基軸とした遠隔的組織修復制御機構の解明
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21K15100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樫尾 宗志朗 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (40823307)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 組織修復 / 組織間相互作用 / キヌレニン / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
組織再生は、欠損した組織を回復させる医学・生物学における重要な現象の一つである。これまで行われてきた再生研究により様々な分子メカニズムが解明されてきたが、既存の研究は傷害部位における組織自律的な分子メカニズムの解析が中心であった。近年の研究により、組織再生を離れた組織が遠隔的に制御することが明らかになってきた。しかしながら、組織間を媒介する因子やその受容システムの包括的な理解には未だ至っていない。 自身のショウジョウバエ遺伝学と体液メタボローム解析を用いたこれまでの研究によって、幼虫の体液に存在するキヌレン酸(KynA)が組織修復に寄与することが明らかになった。さらにKynAの受容システムの探索から、神経細胞においてG protein-coupled receptor (GPCR)の一種であるタキキニン受容体ホモログTkR86Cが遠隔的組織修復に寄与していることが示唆された。しかしながら、なぜ神経におけるTkR86Cが離れた上皮組織の再生に必要であり、どのように修復に寄与するのか、そしてKynAによる再生制御はどのようになされるのかといった分子メカニズムは未だ不明である。 本研究では、メタボライトと神経を基軸とした遠隔的組織修復制御機構の解明を目指し、ショウジョウバエ幼虫を用いた組織再生の系と代謝遺伝学、細胞生化学による機能解析を行った。当初想定していたKynAとTkR86Cの結合は無いことが判明したが、神経におけるTkR86Cの抑制による体液KynAの応答性の変化、そしてTkR86Cのリガンド発現神経も組織再生に必要であること、これらの神経が直接修復組織に投射していないことが判明した。本研究によって明らかになったGPCRの組織再生への寄与から、神経が神経投射ではない内分泌的体内環境制御によって組織再生能を左右するメカニズムの解明につながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、KynAとTkR86C発現神経を基軸とした多臓器連関による組織修復の遠隔制御機構の解明を目的としている。これまでの研究によって、当初想定していたKynAとTkR86Cの結合は無いことが判明した。一方、神経におけるTkR86Cの抑制による体液KynAの応答性の変化、そしてTkR86Cのリガンド発現神経も組織再生に必要であること、これらの神経が直接修復組織に投射していないことが判明した。これは当初の計画とは方向性がずれたものの、TkR86CおよびKynAによる組織再生制御機構を明らかにするゴールに対して順調に進んでいるものといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、TkR86Cがどのように体液中のKynAに影響を与えるのか、神経とキヌレニン代謝制御の中心的組織である脂肪体との関係を調べ、具体的な分子メカニズムの同定を、遺伝学的解析、生化学的・分子生物学的解析によって明らかにし、神経と脂肪体、そして修復組織の連関解明に向けてさらに研究を深める。
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Causes of Carryover |
当初の計画であるKynAとTkR86Cの結合がbinding assayによって否定されたため、次年度にTkR86C発現神経による体液KynA制御機構の解明に向けて、体液プロテオミクスとメタボロミクスを実行するため。
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Research Products
(3 results)