2021 Fiscal Year Research-status Report
ゼブラフィッシュ胚体軸伸長過程において組織同士の長さを一致させる発生機構
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21K15101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河西 通 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (80830752)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 組織伸長 / 体軸伸長 / ゼブラフィッシュ / Floor plate |
Outline of Annual Research Achievements |
組織の伸長は、胚体内の様々な部位や器官で見られる重要な発生現象である。例えば、体軸伸長によって頭尾軸方向に伸びた体幹が形成され、肢芽の伸長によって長軸方向に発達した四肢が発達する。これらの伸長する器官は単一の組織によるものではなく、一般に表皮、筋肉、骨組織など複数の組織によって構成されている。しかし、伸長する複数の組織がいかに協調して長さを揃えているのかについては、ほとんど解明されていない。申請者はゼブラフィッシュ胚の体軸伸長プロセスにおけるfloor plate(FP)と脊索の協調した伸長現象に着目し、これらの組織が協調して伸長するメカニズムを明らかにする。 本年度は、これまでに申請者が明らかにしたFPの伸長過程で見られるFP細胞の移動現象について、その意義を明らかにするために、共同研究として2次元バーテックス法を用いたシミュレーションを行った。その結果、集団細胞移動が引き起こす空間的に一様な細胞増殖によって、FPの素早い伸長が引き起こされ、これによりFPと脊索の伸長が協調できている可能性が示唆された。 また、先行研究からFPと脊索が同一の前駆細胞群から分化することが示唆されていたため、分化過程の詳細を調べるためにFPと脊索が蛍光標識されたトランスジェニック系統を用いて遺伝子発現解析を試みた。FPと脊索の細胞を選択的に解析するためにFACSを用いたが、発生段階の違いによって細胞サイズや組織の柔らかさなどの物性が大きく異なるため、FACS条件の改善を繰り返した。改善したFACS条件のもとで回収した細胞を用いてシーケンス解析を行ったが、シーケンス解析におけるトラブルが発生し、シーケンスの再解析または細胞の再回収を検討する必要性が生じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においてこれまでに明らかとなった細胞動態をベースとして、2次元バーテックス法によるシミュレーションが順調に行えている。
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Strategy for Future Research Activity |
シミュレーションをより深化させるとともに、細胞動態解析および遺伝子発現解析を引き続き進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の流行によって本年は行えなかった海外との研究打ち合わせや国際学会への出席について、その費用を次年度に改めて計上した。
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