2023 Fiscal Year Research-status Report
大血管リモデリングにおける組織定住マクロファージの役割
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21K15113
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
劉 孟佳 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50826922)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 内皮細胞性造血 / 組織リモデリング / 組織マクロファージ / Nkx2-5 / Notchシグナル / レチノイン酸シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
胎生期において心臓を構成する多くの細胞は、同一の起源を持つのみならず互いの分化成熟を促すことで形態形成を完成させる。造血細胞はただ血管内を循環するだけでなく、心血管系の形態形成において重要な役割を持つ。当グループは、胚発生期の一時期に心臓の心内膜細胞も造血能を持ち、組織リモデリングに重要なマクロファージ産生の部位となることを明らかにしてきた。この造血性心内膜細胞はマウス胎生9.5日前後に心内膜床に集中してみられ、ホメオボックス転写因子Nkx2-5により特異的に制御されていることが明らかとなった。Nkx2-5転写因子が胎生期の心内膜床部分の内皮細胞に発現し、局所造血に必須であるが、その詳細な分子メカニズムは未解明であった。 本研究では、Nkx2-5依存的な心内膜造血の制御機構を探るため、Nkx2-5ノックアウト(KO)マウス胎仔(胎生9.5日)の心臓を用いたsingle-cell RNA sequence (scRNA-seq)データを解析した。scRNA-seq解析から、Nkx2-5null心内膜ではNotchシグナル伝達経路に関連する遺伝子の発現が有意に減少していることが明らかとなった。さらに詳細なシグナルネットワーク解析の結果、レチノイン酸(RA)シグナルを減衰させる還元酵素であるDhrs3がNkx2-5下流で造血性心内膜細胞を特徴づける遺伝子となっていることを同定した。In vivoおよびex vivoの解析から、Nkx2-5-Notch axisは造血性心内膜および心内膜床細胞の生成に必須であり、Dhrs3発現によるRAシグナルの抑制はマクロファージへのさらなる分化に重要な役割を果たすことが検証された。以上のことから、Nkx2-5/Notch/RAシグナルが造血性心内膜細胞からのマクロファージ分化に極めて重要な役割を担っていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標の一つである心内膜造血の分子制御メカニズムを解明し、2023年9月にNature Communications誌に発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
心内膜造血機構を明らかにした内容の論文発表に加え、同様の機構が大血管にも存在するか否かを検証した。Nkx2-5系譜を持ったマクロファージは心臓流出路近くの大血管(上行大動脈)平滑筋付近に存在していたことから、心内膜で生成されたマクロファージが遊走した可能性があると考えた。そこで、心内膜細胞から造血が起こる様子、また造血が起きた後にマクロファージに分化して組織に定住する様子マウス胚のライブイメージングで捉える試みに挑戦する。
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Causes of Carryover |
公開されているバイオインフォマティックスデータの解析を利用して多くの実験が省略できたため、当初の使用計画額に満たなかった。ただし、翌年度はマウス胚のライブイメージングのために使用する計画である。
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] 心臓の形態形成に重要な組織マクロファージの分化機構の解明2023
Author(s)
Norika Liu , Naofumi Kawahira , Yasuhiro Nakashima , Haruko Nakano , Akiyasu Iwase , Yasunobu Uchijima , Sean Wu , Susumu Minamisawa , Hiroki Kurihara , Atsushi Nakano
Organizer
第101回 日本生理学会大会
Invited
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