2022 Fiscal Year Research-status Report
Developmental profiles of fused cells produced by fusion of plant zygotes with somatic protoplasts
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21K15126
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸田 絵梨香 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特別研究員 (50783065)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 受精卵 / 体細胞 / 配偶子 / プロトプラスト / イネ / トランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、イネ花から単離した卵細胞と精細胞を電気的に融合し受精卵を作出するin vitro受精系を用いて、作出した受精卵にさらに体細胞プロトプラストを融合させることで、融合細胞(融合受精卵)を作出し、それらの発生プロファイルの解析を行う。これにより、分化状態の異なる細胞の融合が、植物受精卵の発生様式にどのような影響を及ぼすかについて、実験発生学的に明らかにすることを目的としている。また、配偶子、体細胞プロトプラストおよび融合受精卵の遺伝子発現解析を行い、それらを受精卵との比較解析に用いることで、受精卵発生を司る分子基盤を浮かび上がらせ、受精卵の細胞特性および発生制御機構の解明につなげる。 イネ卵細胞、精細胞および葉プロトプラストの融合によって作出された融合受精卵の多くは、核合一前後のステージでその発生を停止した。一方で、融合受精卵を構成する配偶子の割合を増やすことによって、融合受精卵が受精卵様の発生様式を示すことが明らかとなった。これらの結果より、細胞内の配偶子と体細胞のゲノム(核相)比率によって、融合受精卵が異なる発生プロファイルを示すこと、また、配偶子の割合を増やすことで、融合受精卵は体細胞由来のゲノム・細胞質・オルガネラとの軋轢を乗りこえ、受精卵としての分裂・発生を進行させることが示唆された。さらに、別の種類の体細胞として、イネの胚盤カルス由来のプロトプラストを融合に用いたところ、これらの融合受精卵は高い発生・分裂率を示した。このことから、融合する体細胞の種類によっても、融合受精卵が異なる発生プロファイルを示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
融合する体細胞の種類によって融合受精卵がどのような発生プロファイルを示すのかを確かめるため、本年度は葉プロトプラストに加えて、胚盤カルス由来のプロトプラストを用いた融合受精卵の作出およびその発生解析を展開した。また、融合受精卵の遺伝子発現プロファイルの解析に向けて、本年度はコントロールとなる体細胞プロトプラストのトランスクリプトームデータを取得し、配偶子との発現比較解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
①受精卵と融合受精卵間における遺伝子発現プロファイルの比較解析:融合受精卵を対象としたトランスクリプトーム解析を行い、受精卵との比較解析を行うことによって、受精卵発生制御に関与する遺伝子群の探索・同定に取り組む。 ②異種組み合わせによる融合受精卵の作出およびその発生解析:異種の組み合わせで受精卵と体細胞プロトプラストを融合させることで異種融合受精卵を作出し、その発生プロファイルやゲノム脱落の有無などを解析する。
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Causes of Carryover |
本年度は主に、融合受精卵の発生解析および体細胞プロトプラストのトランスクリプトーム解析を実施した。融合受精卵の遺伝子発現解析を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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Research Products
(14 results)