2021 Fiscal Year Research-status Report
ライブセルオミクス解析法の開発による胚発生開始機構の解明
Project/Area Number |
21K15130
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鳥井 孝太郎 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 特別研究員 (80878463)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Live-cell RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
胚発生は生命現象の根幹であり、単一の細胞である受精卵は胚発生を開始することで時に数十兆を超える細胞からなる個体を形成する。このように単一の細胞から個体を作る能力は分化全能性と呼ばれ、一般に受精卵と発生のごく初期にある細胞のみが保持している。しかし、植物体内の細胞は分化後も分化全能性を持ち、体細胞から個体を再生する極めて特異な性質を持つ。この性質はiPS細胞などが示す分化多能性より上位の分化能として注目されているものの、研究の進展は動物分野に比べ非常に遅れている。なぜならば、そもそも植物の受精卵が胚発生を開始する機構がほとんど未解明なためであり、そこには研究を停滞させる2つの技術的な原因があった。1つは植物の受精卵は大量に確保することができないという問題である。2つ目は、受精卵の発生開始時には短時間で転写情報が極めて動的に変化しており、その変化の時系列を網羅的かつ十分な時間精度を持って解析可能な実験系が存在しない、という問題であった。そこで本研究では植物の発生開始時における転写制御を解析可能するため、少ない細胞数で、より高い時間精度を実現にするライブセル1細胞RNA-sequencing法(live-cell RNA-seq)を開発した。種々の条件検討により、細胞を破壊せずにmRNAを抽出し、同一の細胞から連続的にトランスクリプトームデータを得ることができた。本研究ではこれらの手法を用いて、植物受精卵の発生開始メカニズムを解明することで、これまで研究が大きく遅れていた植物の胚発生研究の基盤構築を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の骨子である、Live-cell RNA-seqの開発については動物細胞では一定の目処が立ち、現在は植物細胞への応用段階にあるため、研究は概ね順調に進んでいる。動物細胞では極少量のRNA抽出は細胞周期や形態、遺伝子発現プロファイルに影響を与えず、安定して1 pg相当のRNAを抽出可能なことが確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、植物細胞への応用を見据えると同時に、得られる遺伝子発現データから遺伝子制御ネットワークを描く解析手法の開発を進めることを視野に入れている。
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Causes of Carryover |
少額であるため次年度に繰り越した。消耗品の購入に充てることを計画している。
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