2021 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanisms for commitment to oogenesis
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21K15133
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菊地 真理子 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (20845135)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生殖細胞 / 性決定 / fbxo47 / 卵形成 / メダカ |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖細胞が卵あるいは精子に分化する過程では、卵形成経路と精子形成経路が拮抗的に働いていると考えられる。本研究は、この性的拮抗関係において、ユビキチン化因子FBXO47がメス性を確立していく仕組みを明らかにすることを目的としている。そのために、免疫沈降-質量分析法によるFBXO47相互作用因子の網羅的同定を計画した。 2021年度は、CRISPR/Cas9を用いてfbxo47のゲノム領域に3xFLAGタグをノックインしたメダカ系統を作出した。また、免疫沈降に十分なFBXO47-3xFLAG発現細胞を集めるために、fbxo47プロモーター下でmCherryを発現するトランスジェニックメダカ系統を作出した。現在、fbxo47-3xFLAG系統をfbxo47p-mCherryトランスジェニック系統やrec8a変異体と交配し、免疫沈降のサンプリングのための準備を行っている。 メダカ卵巣ライブイメージングに先立ち、AID法によるfbxo47の条件的ノックダウンを行うために、fbxo47のゲノム領域にAIDタグをノックインしたメダカ系統を作出した。現在は、fbxo47-AID系統とolvasp-AtTIR1トランスジェニック系統を交配している段階である。並行して、コラゲナーゼtype IVで乖離したトランスジェニックメダカ卵巣の初代培養系を確立した。今後はこの培養系をスピニングディスク共焦点顕微鏡下でのライブイメージング系に適応し、AIDノックダウンと併せてFBXO47の機能解析に用いる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画初年度である2021年度は、免疫沈降やライブイメージングに先立つサンプルの準備や実験系の確立に取り組んだ。免疫沈降に用いるメダカ系統として、fbxo47-3xFlagノックインメダカ系統およびfbxo47p-mCherryトランスジェニック系統を作出した。ライブイメージング系については、共焦点顕微鏡下での観察に先立ち、ガラスボトムディッシュでのメダカ卵巣初代培養系(卵巣乖離条件、培養条件)を確立した。AID法による条件的プロテインノックダウンについては、fbxo47-AIDノックインメダカ系統を作出したほか、メダカ胚に対するオーキシン(5d-Ad-IAA)の毒性試験を行った。 2022年度は、上記メダカ系統や実験系を用いて、質量分析によるFBXO47相互作用因子の網羅的同定、ライブイメージングによる染色体動態解析、およびAID法によるノックダウンの効率検定などを行う予定であり、本研究は交付申請書に記した研究実施計画に従っておおむね順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、申請時の実施計画に従って研究を進める。 質量分析に先立ち、fbxo47-3xFlag系統の卵巣から全タンパク質を抽出し、抗FLAG抗体を用いてWesternblottingによるFBXO47-3xFLAGの検出、および免疫沈降をおこなう。卵巣中のFBXO47発現細胞は数が少ないことが予想されるため、予めfbxo47-3xFlag系統とrec8a変異体を交配し、FBXO47発現細胞が蓄積した卵巣を免疫沈降に使用する準備を整える。また、fbxo47-3xFlag系統とfoxl3p-EGFP系統やfbxo47p-mCherry系統を交配し、FBXO47発現細胞をセルソーターにより濃縮する準備を整える。 メダカ卵巣の初代培養系をライブイメージング系に適用し、染色体動態の定量化を試みる。olvasp-EGFP系統の卵巣を用いると同時に、核DNAをKakshine PC5で染色し、EGFP発現量、細胞サイズ、染色体形態から特定の分化段階の生殖細胞を同定する。 fbxo47-AID系統をfbxo47変異体およびolvasp-AtTIR1系統と交配し、fbxo47-AID/d8; olvasp-AtTIR1系統を作出する。この系統の卵巣を用いて初代培養を行い、オーキシン投与によるFBXO47-AIDタンパク質のノックダウン効率を検討する。
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Causes of Carryover |
初年度に質量分析を実施する場合を想定して質量分析に関する消耗品を予算に計上したが、初年度は質量分析に用いる生体サンプルの準備に留まり、質量分析を行わなかったため次年度への繰越しが生じた。
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Research Products
(1 results)