2021 Fiscal Year Research-status Report
Neurophysiological and optogenetic analysis of reproductive state-specific regulatory mechanism of isotocin/vasotocin neuronal systems
Project/Area Number |
21K15140
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中城 光琴 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (60824795)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 生殖 / 神経内分泌 / 神経ペプチド / 性行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物において重要な機能である生殖には、個体が生殖可能な状態になるための生殖腺機能調節と、交配相手の獲得や競争相手の排除のための性行動、攻撃行動の協調的制御が必須とされているが、その脳内メカニズムは未解明である。本研究では、これらの行動制御に寄与する可能性のある生理活性物質、イソトシンおよびバソトシンを産生する神経細胞の、脳内での制御機構を解析するとともに、これらの神経活動を人為的に促進させた際の個体の行動変化を解析する。また、イソトシンとバソトシンを含め、近年では性行動、攻撃行動等の社会性行動制御に寄与すると考えられている真骨魚類のもつ神経ペプチドについて、それらを発現するニューロンの解析を行う。本年度、本研究ではまず、真骨魚類に属する小型魚類であるメダカを用い、メスの性行動に寄与するとされるニューロンについて、蛍光タンパク質による同ニューロン群の可視化がなされている遺伝子組換え系統と、同ニューロン群が発現する特定の受容体が機能不全となっている、同受容体遺伝子のノックアウト系統を交配・継代・選別することで、両系統の性質をあわせ持つ系統を確立した。また、可視化した同ニューロン群の神経活動動態の記録を行う神経生理学的な実験を開始した。さらに、本年度から所属研究室に導入された小型魚類用の自動行動解析システムを用い、性行動への寄与が示唆されている複数の神経ペプチド、およびその受容体遺伝子のノックアウト個体の性行動解析に着手した。一部の系統の個体については性行動に何らかの異常をきたしていることを示唆する予備的なデータを得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主い神経生理的な解析に用いる遺伝子組換え・ノックアウト系統の確保、維持については完了したものの、解析対象であるニューロンの神経生理学的な実験手法による記録の取得が、主に現行の機器・機材の操作性や技術的な問題により難航している。これは研究計画時に主に使用していた機器と現行のものが、所属変更等に伴う機器の移管により異なってしまったためである。そこで、現所属研究室に別の研究課題での使用予定のため導入された小型魚類の自動行動解析システムを利用し、行動解析を先に進めることとした。これについては効率的な性行動の様子を記録できるプロトコルの条件検討等、一定の結果を現在までに得られている。また、本研究課題に関連するこれまでの実験結果をまとめ、投稿論文の執筆や、必要な追加の実験データの取得等の準備を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
神経生理学的実験は次年度以降、修練・条件検討による操作技術の向上とあわせて、一部の機材の拡充や変更を検討することで問題解決を図る予定である。 また神経トレーサー等を用いた神経細胞の投射部位の解析等、組織学的な解析にも合わせて着手する。現在、必要試薬類を入手し、各脳部位への導入方法等の条件検討中である。 また次年度以降の長期的な実験計画として、光刺激による時期特異的な解析対象のニューロンの刺激を行うための遺伝子組換え系統を新たに樹立するべく準備を進めていく方針である。また、上記の実験結果も極力含めて、これまでの研究成果をまとめ、学会発表・投稿論文の準備を進めていく。
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Causes of Carryover |
本年度は当初計画していた神経生理学的実験の実施が難航し、予定よりも本年度購入予定であった消耗品や試薬類を購入しなかったため。次年度は、同実験系の技術的な問題の解決のため、実験機器の拡充や交換に用いることを検討している。また、同実験系を本年度よりも高頻度で実施する予定であり、使用する試薬等の消耗品の購入に使用する予定である。 もう一つの理由として、新型コロナウィルス感染症対策の一環として、対面での参加を予定していた学会、研究会がオンライン開催あるいは中止になったため、計画当初よりも学会関連の旅費・出張費の出費がなくなった事が挙げられる。これについては次年度以降、対面開催の機会が増えていくことが予想される。
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