2021 Fiscal Year Research-status Report
メダカ黒色婚姻色の多様化をもたらす性的葛藤遺伝子の同定
Project/Area Number |
21K15143
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安齋 賢 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (20779467)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メダカ / 性的葛藤 / 原因遺伝子 / 婚姻色 / ゲノム編集 / 性染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
雌雄間で有利な表現型が異なる状態、すなわち性的葛藤状態は、性的二型を進化させる主要な原動力であると考えられている。しかし、性的葛藤形質の原因遺伝子を同定し、その機能解析からそれらの遺伝子が性的葛藤状態にあることを実証し、さらにその解消に関わる詳細な遺伝機構を明らかにした例はない。本研究では、黒色婚姻色パターンと性染色体の急速な種間変異を有するインドネシア・スラウェシのポソ湖メダカ科固有種群をモデルとして、特に黒色婚姻色の原因遺伝子同定から性的葛藤遺伝子の同定を目指す。更に、同定した原因遺伝子についてゲノム編集による機能解析を行うことで、同定した遺伝子が性的葛藤状態にあることを実証することを目的とする。 本年度は、遺伝学的解析による黒色婚姻色パターンの変異に関わる遺伝子座の同定と、各固有種群における性決定遺伝子の絞り込みを中心に行った。遺伝学的解析では、解析に必要な種間雑種(F2またはBC1)家系の作出およびサンプリングが完了した。現在、各家系についてSNPタイピングを進行中であり、その後のQTL解析についても表現型解析を準備中である。性決定遺伝子座の同定に向けては、ddRAD-seqにより取得したゲノムワイドSNPを用いた解析や、Pool-seqによる雌雄間の全ゲノム比較解析を行ったものの、いずれの解析でも性染色体のシグナルが弱く、性決定遺伝子座の絞り込みにつながるような再現性のある結果が得られていない。現在、より精度の高い手法として、野外採集個体の全ゲノムシーケンスデータを使用したゲノムワイド関連解析により、性決定遺伝子座の解析を行うことを計画中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で使用する生体サンプルは主に共同研究先で飼育・交配されているが、感染症拡大による移動制限を受け、サンプル採取を順調に進めることができなかった。そのため、実験計画全体に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度採集した種間交雑家系を用いたQTL解析を実施し、遺伝学的な手法により、黒色婚姻色の原因遺伝子座同定をすすめる。また、各固有種の純系サンプルの準備が進行中であり、成熟個体が入手でき次第、ヒレや皮膚サンプルを使用した比較トランスクリプトーム解析を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により、学会・研究会の開催や共同研究先へのサンプリングが延期となり、旅費の支出が大幅に減少し、その分次年度使用額が生じた。翌年度分の助成金と合わせて、解析に必要な消耗品(プラスチック製品、分子生物学関連試薬、データストレージ等)や国内学会・研究会の参加旅費として使用する計画である。
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Research Products
(4 results)