2022 Fiscal Year Research-status Report
ミドリイシ属サンゴの野外での受精成功と交雑状況の解明
Project/Area Number |
21K15146
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
北之坊 誠也 筑波大学, 下田臨海実験センター, 研究員 (40899291)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ミドリイシ属サンゴ / 放卵放精 / 受精 / 雑種種分化 / 交雑 / 多種同調産卵 / 遺伝子流動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、同所的に生息し、多種同調産卵するミドリイシ属サンゴの生殖様式に注目し、現生ミドリイシ属サンゴにおける野外での受精状況と異種間交雑の頻度、子孫の遺伝的多様性の変化を解明することを目的としている。本年度は、以下の研究を行った。 17種145サンプルを用いて次世代シークエンサーで得られたデータの解析を開始し、ミドリイシ属サンゴのゲノム科学的研究を進めた。分子系統解析を行い、先行研究と比較してブートストラップ値の高い信頼性のある系統樹を作成した。その結果、現生するミドリイシ属サンゴの交雑能を持つ種間で、同一の共通祖先から分岐した可能性が示唆された。Acropora tenuisとAcropora doneiが最初に分岐し、その後、他のいくつかの種が分岐し、多種同調産卵する種が分化したことが考えられる。 また、遺伝子ネットワーク解析では、系統樹の結果を支持する内容として、各クレードを形成するグループが遺伝的には離れており、同じグループ内では遺伝的な交流があったと思われる細かなネットワークが形成されていることが示唆されました。つまり、異なるグループ間では遺伝的な距離が大きく、しかし同じグループ内では遺伝的な交流が行われていた可能性があることを示唆しています。さらに、集団遺伝学解析により、おおよそ7つの集団が形成されていることが示され、系統樹上で近縁なクレードを形成する種が同じクラスターに分類された。この結果から、遺伝的に近い種が同じ集団を形成している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度に取得した遺伝子データを利用した解析は進んだが、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、今年は高知での実験を行うことが困難となってしまい、温帯域における産卵実験および生態調査を実施できなかった。次世代シークエンス解析や、データ解析も保留している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度では、ミドリイシ属サンゴの種分化と遺伝子流動の関係を解明するために、ゲノム解析をさらに進める。当初は、温帯域のサンプルも解析に含める予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により実験が延期された。そのため、今後はこれまで取得したデータの解析を優先し、明らかになったデータをまとめて国際誌に投稿する予定である。この投稿によって、遺伝子解析を通じて種間の遺伝子流動などの多種同調産卵するミドリイシ属サンゴの交雑の進化などの詳細を明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大に伴い、今年は高知での実験を行うことが困難となってしまい、温帯域における産卵実験および生態調査を実施できなかった。
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