2023 Fiscal Year Research-status Report
Field examination of the tactics at the prey pursuit navigation in raptors
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21K15169
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
西海 望 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設), 生命創成探究センター, 特別研究員 (10760390)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ハヤブサ / 無人航空機 / ハト / 集団行動 / 編隊飛行 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に収集した米国での実験データの解析をおこなった。 当実験は、ハヤブサを模倣した無人航空機に襲撃されたハトが、その後どのような行動を取るようになるのかを調べるものであった。実験データはGPS座標であり、これに対する座標変換処理および結論を導き出すための統計処理を中心とする解析を実施した。 実験データはハトの移動経路情報を離散的に収集したものとなるため、まず、これを運動方程式に近似し連続的な情報に変換した。そして、大局的な解析の結果、無人航空機からの襲撃を経験したハトは、再び襲撃地点を通過するコースを飛ぶ際に、依然編隊を離脱せずそのまま他のハトと一緒に襲撃地点に向かうことが確認された。そこで、より詳細に編隊内での位置関係を探る解析を実施した。ここでは、まず世界地図座標系で記述されている経路情報を編隊の進行方向を基準とした相対座標系に変換し、着目するハトが編隊内のどの位置に分布しているのかを判別できるようにした。この変換処理を経たデータを用いて、無人航空機の襲撃の有無がハトの編隊内での位置取りにどのような影響を及ぼしたのかを検証するための各種統計手法の設計を行い、適用した。その結果、無人航空機の襲撃を経験した個体は、その後、有意に編隊内の後方および上方を飛行するようになることが判明した。これらの位置は、無人航空機の襲撃に対してより安全と考えられる位置であった。このことから、一度脅威に晒された個体は、その後も集団としての協調性を維持しつつ、編隊内の安全な場所に位置しようとすることが示唆された。この解析によって、ハヤブサなどの脅威がハトの行動にどのように影響するのかを示す貴重な知見が得られた。また、無人航空機のGPS情報の解析も並行して行い、センサーシステムの検知能力の低さによってハトを襲撃する際の方角が制限される問題があることを確認し、改善点を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつかの改善点は見られたものの、論文作成に十分な実験データを得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今回解析したデータに関しては、とりまとめ論文として報告する。 また、無人航空機のセンサーシステムの改修を行い、より高度な実験を実施できるようにする。
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Causes of Carryover |
前年度の実験の失敗及び遅延を想定して、本年度にも追加の実験を行うことを踏まえて予算計画を立てていたが、幸いにして順調に実験が進んだため、本年度の出費が抑えられた。 以後の使用計画としては、まず無人機運用時のセンシング能力に課題が生じていたため、これに関する改修費用に予算をあてる。そして改修後の無人航空機を用いて、ハトの集団に対する襲撃方向を操作する新規実験を行う予定であり、そのための実験費用にも予算をあてる。
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