2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K15171
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長田 穣 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (90750084)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生態系機能 / 生物多様性 / 生物群集 / 非線形時系列解析 / 因果推定 / 生物間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
「生物多様性が高い生態系ほど人類にとって有益な機能を安定して発揮する」ことは国連ミレニアム生態系評価など多くの生態系管理の前提とされる重要な理論予測である。本研究では、この理論予測を複雑な相互作用をもつ群集に適用できるよう拡張し、野外データを用いて拡張した理論予測を実証することを目的とする。生態系機能の理論予測についてはランダム群集にネットワーク理論の近似を適用することで解析解を求めることに成功した。種数だけでなく相互作用の結合度や相互作用タイプ頻度(群集に含まれる正と負の相互作用の割合)がどのように生態系機能に影響を与えるかを初めて明らかにした。また、本課題で考案したアプローチを用いて、相利共生系のレジリエンスを解析的に求める共同研究を開始した。系に含まれる種数が増加するほどレジリエンスが高まることがわかった。
理論予測の実証に必要な因果推定(相互作用推定)法の開発を昨年度に引き続き行った。有意性検定(サロゲート法)について手法の検討を行い、分散を明示的に計算することで検定力が増加することがわかった。また、データ不足による見かけの転移エントロピーの増加を防ぐため、有効転移エントロピーの計算を実装した。開発した手法はRパッケージとしてGithubで公開している(https://github.com/yutakaos/rUIC)。大規模データへの適用に耐えうるようにプログラムの高速化と省メモリー化を行った。開発した手法を用いて、キノコ間の相互作用に関する共同研究を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論研究は予定通り進展しているものの、実証研究に遅れが生じているため。
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Strategy for Future Research Activity |
因果推定法について更なる改良を行うとともに、理論予測の実証を開始する。
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Causes of Carryover |
家庭の事情により出張ができなかったため。また、高性能計算機の納入が遅れたため。
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