2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the functional role of neural stem cells in the area postrema in the regulation of feeding behavior
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21K15177
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
古部 瑛莉子 旭川医科大学, 医学部, 助教 (30845566)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 延髄最後野 / 神経幹細胞 / 摂食 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、脳室周囲器官である延髄最後野に成体神経幹細胞が存在することが示されている。私はこれまでNestin-CreERT2/CAG-CATloxP/loxP-EGFPマウスおよびBrdUを用いた免疫組織化学の結果から、最後野のNestin陽性神経幹細胞が、脳室周囲器官だけでなく、孤束核や迷走神経核、舌下神経核などの隣接した脳部位にも細胞を供給しており、その多くはオリゴデンドロサイトであることを報告した。 最後野は嘔吐中枢として知られる領域で、その周辺には孤束核、迷走神経核、舌下神経核などの摂食に関連する脳領域が集まっている。そこで、最後野の神経幹細胞が摂食に関わる機能的役割を持つのではないかと仮定し、スクロース飲水による体重増加モデルおよび高脂肪食を用いて神経幹細胞及び前駆細胞に対する影響を検討した。 50%スクロース溶液を水の代わりに飲水させて4週間飼育したグループでは、最後野のBrdUを取り込んだVimentin陽性神経幹細胞の数および、BrdUを取り込んだOlig2陽性細胞の数が有意に増加していた。一方で、1週間の短期間のグループでは変化が見られなかった。 高脂肪食を1週間摂食させたグループでは最後野のBrdUを取り込んだVimentin陽性神経幹細胞の数に有意差はなかったが、最後野および孤束核でのBrdUを取り込んだOlig2陽性細胞の数が増加することが判明した。 スクロース飲水および1週間の高脂肪食摂取により最後野での神経幹細胞およびオリゴ系譜細胞の増殖に変化が見られたことから、摂食またはエネルギー代謝に関して何らかの役割を持つ可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、最後野の神経幹細胞および前駆細胞が機能的な増殖変化を行うことが示された事例は、脳損傷などの大規模な再生が必要な場合や、LPS腹腔内投与による全身炎症が生じた際に観察されていた。当該年度に実施した研究の成果は、予想通り通常の飲水や食物の変化によっても最後野での細胞増殖に変化が見られることを示した。これにより、次年度は(1)摂食量(2)摂食頻度、飼料掲示から摂食までの経過時間 (摂食意欲)(3)嗜好性 (通常食・脂肪食)(4)血中グルコース濃度、コレステロール値 (代謝系への影響)といった最後野での細胞増殖が持つ役割を検討することが出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
私は先行研究で、最後野での細胞増殖には血管内皮増殖因子(VEGF)シグナルが重要であることを明らかにしている。そこで、最後野での細胞増殖に必要なVEGFシグナリングを阻害した場合のスクロース飲水および高脂肪食摂取時の以下の項目を検討し最後野での細胞増殖がどのような役割を持つのかを検討する。 (1)摂食量 (2)摂食頻度、飼料掲示から摂食までの経過時間 (摂食意欲) (3)嗜好性 (通常食・脂肪食) (4)血中グルコース濃度、コレステロール値 (代謝系への影響)
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Causes of Carryover |
今まで、動物に対する麻酔を3種混合麻酔の腹腔内投与により行っていたが、動物福祉上、実験の再現性、効率の観点から吸入麻酔(イソフルラン)への切り替えを行うことにした。その吸入麻酔機本体の購入代金により次年度使用額が生じた。
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